サステナブルな未来を見据えた心築
2022年1月より「Re-Design」プロジェクトとしてワンファイブホテルズが大規模改修工事を行っていたホテル イル・パラッツォが、2023年10月1日(日)にグランドオープンすることが決定した。ホテル イル・パラッツォは、イタリア人建築家のアルド・ロッシとインテリアデザイナーである内田繁がアートディレクターとしてタッグを組んで実現した日本初のデザインホテル(1989年開業)。「Re-Design」プロジェクトは、所有者変更を経て、建築当初のコンセプトから変化した箇所を中心に、当初コンセプトを前提として今の時代に合致した、サステナブルな未来を見据えた心築を施すものとなる。
本ホテルの開発は、地域全体の拠点開発を起点としており、ほかにも、エットーレ・ソットサス、ガエターノ・ペッシェ、倉俣史朗、三橋いく代、田中一光など、世界的なクリエイターが参画し、話題となった。1990年には「プリツカー賞」、福岡市都市景観賞を受賞。1991年にはアメリカ国外の建築物では史上初となるアメリカ建築家協会(AIA)名誉賞を受賞している。
「Re-Design」プロジェクトでは、同ホテルのデザインだけでなく、その高い社会的資産に着目し、内田繁の逝去後も思いやデザインの理念を受け継ぐ「内田デザイン研究所」をパートナーに選定している。⼼築(しんちく)とは、いちごの不動産技術とノウハウを活⽤し、⼀つ⼀つの不動産に⼼を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、⽇本における「100年不動産」の実現を⽬指している。
本プロジェクトの主なポイント
- 1989年開業時のホテルロゴデザインが復活
- アルド・ロッシ設計の外観デザインはオリジナルを尊重し一部復元
- ディスコ、イベントホールなど、時代やニーズに合わせて独自のカルチャーを発信してきた地下空間は、130席の大型ラウンジに生まれ変わり
- 階段を登る必要があったエントランスは、1階から段差なく直接アプローチ可能に
- 1989年のオリジナルの配色を踏襲したエントランスは「結界」をイメージ
- 客室はスーペリアクイーンとデラックスキングの2タイプに加えて、バルコニー付の客室を新設
アルド・ロッシ Aldo Rossi(1931 - 1997)
建築と都市デザインの分野において大きな影響を与えたイタリアの建築家、理論家。ポストモダン時代の理論をリードする建築家のひとり。代表作にモデナの墓地(イタリア)、カルロ・フェリーチェ劇場(イタリア)、ボネファンテン美術館(オランダ)などがある。その他にも数多くの大規模プロジェクトを手がけ、多くのコンペティションとアワードを受賞。
内田 繁 Shigeru Uchida (1943 – 2016)
日本を代表するデザイナーとして幅広く世界的評価を受けるなか、各国での講演やコンペティションの審査、展覧会、国際的デザイン企画のディレクションなど、つねにその活動が新しい時代の潮流を刺激し続けてきた。代表作に、山本耀司のブティック、神戸ファッション美術館、茶室「受庵 想庵 行庵」、ザ・ゲートホテル雷門などホテルの総合的デザインも取り組む。メトロポリタン美術館、М+美術館等に永久コレクション多数。