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坂本龍一が“遺したもの”を共有化し、これからの文化の発展に寄与するために

坂本龍一が遺したものを共有化する試み「sakamotocommon GINZA」がGinza Sony Parkで、2024年12月16日(月)から12月25日(水)まで開催される。「sakamotocommon」は次世代を担う若い才能が坂本龍一の精神を継承し、未来へと続くクリエイティブなコミュニティを築くために、坂本龍一の知的財産を公共的・文化的に活用し、未来へと残す活動を行う団体。Ginza Sony Parkがこの考えに共鳴、グランドオープン前のParkを提供し共同開催する。

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本イベントではRhizomatiks・真鍋大度とのコラボレーション作品「Sensing Streams GINZA」や坂本が生前フィールドレコーディングしていた素材をミックスした立体音響などを体験できるほか、坂本が生前より進めていた、自らが所蔵していた書籍を集めた図書構想「坂本図書」を実現、自由に閲覧できる。また、坂本が遺した『Merry Christmas Mr. Lawrence』などの本人の演奏データを、まだ工事中のGinza Sony Parkの空間中央に本人が所有していたOpera Pianoが設置され演奏する。

本イベントはsakamotocommonのクラウドファンディングに参加した方のみの入場となっている。来場を希望する場合は事前にsakamotocommonのクラウドファンディングへの参加が必要となる。

展示内容

「Sensing Streams 2024 - invisible inaudible (GINZA version)」
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坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ-不可視、不可聴》2014 札幌国際芸術祭2014での展示風景 撮影:木奥惠三 提供:札幌国際芸術祭実行委員会

人間がふだん知覚することのできない「電磁波」をセンシングし可視・可聴化する、坂本龍一と真鍋大度(Studio Daito Manabe, Rhizomatiks)によるコラボレーション作品。現代において必要不可欠なインフラでありながらふだん気づくことのない電磁波の流れを多様なかたちで顕在化すると同時に、放送局やキャリアに割り当てられた周波数帯―見えない領土分布―に縛られながら、各人が能動的に関わることで形成される一種の「生態系」を可視化している。「銀座」を行き交う電磁波をセンシングし、ソニーの高画質LEDディスプレイCrystal LEDを使った新たな形で展示される。

真鍋大度
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PHOTOGRAPH:MIKIKO

1976年東京生まれの真鍋大度は、音楽家の両親のもと、音楽とプログラミングに親しんで育つ。DJやジャズバンド活動を経て、東京理科大学で学んだ際にXenakisに影響を受け、音楽生成における数学的アプローチの研究を始め、これが後の創作活動の基盤となる。

2006年にライゾマティクスを設立。演出振付家MIKIKOと共にPerfumeとELEVENPLAYのコラボレーションを通じて、テクノロジーと身体表現の融合を探求し、リオ五輪閉会式のAR演出など革新的なプロジェクトへと発展。坂本龍一、Björk、Nosaj Thing、Squarepusher、Arca等との協働も多数行い、その独創的なAudio Visualパフォーマンスは、Sonar Barcelonaをはじめとする世界各地の国際フェスティバルで発表されている。近年は神経科学者との協働を通じて、培養神経細胞を用いたバイオフィードバックシステムなど、生命と機械を融合する作品を制作。現在はStudio Daito Manabeを主宰し、アート・テクノロジー・サイエンスを横断する表現を追求している。

Ryuichi Sakamoto Field Recordings &『12』 by 360 Reality Audio +Sakamoto Library Extension

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坂本は生前、常にマイクとレコーダーを持ち歩き(時にスマートフォンの場合も)、自分の気になった音は全て収録していた。その音源は、作品に使われることもしばしばあったが、一般に公開されることはなく今に至る。雨の音や風の音など7つのフィールドレコーディング素材(収録された年代と場所が異なる7つの音源)をこの企画のために360 Reality Audioミックスした音源と、坂本が自ら乃木坂ソニースタジオで360 Reality Audioミックスに立ち会った最後のアルバム『12』360 Reality Audioバージョンの音源を没入感のある立体的な音場で体感できる。

Sakamoto Library Extension

「坂本図書」とは、坂本が自身の本を多くの人と共有し、同時に「あるひとの心を動かした『本』」という文化資本を分かち合う事業。2017年より坂本自らが実現に向けて動き始め、2023年9月に、都内某所にて坂本の所蔵の本を読むことができる図書空間「坂本図書」を始めた。小さなスペースのため、完全予約制で、場所は非公開で運営している。今回「Sakamoto Library Extension」では、「坂本図書」の蔵書の中から同タイトルの古書を揃え、自由に閲覧できる。

Ryuichi Sakamoto's "Opera Piano" designed for "LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999"

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「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」のためにデザインされた「Opera Piano」。坂本が残した演奏データが、本人所有のOPERA PIANO(自動演奏機能付き)で再生される。「Opera Piano」は、ピアノの“foundation(基盤)”を透過し可視化すること、装飾性を排除しピアノの楽器としての機能をあらわにすることをイメージしたもので、指揮者としてオーケストラを牽引しつつ、ピアノを演奏するスタイルを実現したい、そしてその舞台にふさわしいピアノを作ってほしいという坂本の願いのもと、ヤマハデザイン研究所によってデザインされた。演奏曲は『Aqua』『energy flow』『put your hands up』『鉄道員』『Merry Christmas Mr.Lawrence』。

坂本龍一

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1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』『BEAUTY』『async』『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞を、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、グラミー賞映画・テレビ音楽賞など多数受賞。『LIFE』,『TIME』などの舞台作品や、韓国や中国での大規模インスタレーション展示など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日死去。

「sakamotocommon GINZA」開催概要

会期2024年12月16日(月)〜12月25日(水)
時間11:00~19:00(予定)
会場Ginza Sony Park
入場方法事前にクラウドファンディングに参加が必要
URLhttps://tinyurl.com/2dks7e28