NFT現象はアートマーケットの「破壊者」なのか?
NFT(Non-Fungible Token)は発明されたばかりではないが、アートオークション領域では大変動をもたらしてきた。クリスティーズ、サザビーズ、フィリップスはそれぞれ、この2か月間で初めてのNFTを販売し、他の多くのオークションハウスやギャラリーがこの新しい試しみに引き込まれている。Artpriceは、この新しいメディアの中心にある無限の創造性と並外れた需要の可能性を認識している。それは、テクノロジーの急速な成長と、将来の世代のコレクターの願望とも一致する。
現代美術のある作品がオークションで高値をつけたことはよく問題にされるが、Beeple、Pak、Mad Dogの最近の結果についてはどうだろうか? Jeff KoonsやDamien Hirstが打ち立てた天文学的な記録は賛否両論あるものの、少なくともこれらのアーティストのキャリア全体と、マーケット、そしてセカンダリーマーケットは徐々に構築されていったことを表している。今日、NFTにより達成された数百万から数千万ドルの結果は、それまでアート市場に決して流通することのなかったアーティストたちの作品である。
- Beepleの《EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS》の価格推移は不明
- 開始価格:100ドル→達成された価格:69,346,250ドル。
アートと技術
「NFTは革新的な発明であり、アート史上における最高傑作と比較する人もいる」と、Artmarket.comとそのArtprice部門の創設者であり社長のティエリー・エールマン(Thierry Ehrmann)は説明する。「シーナ・エスタビ(Sina Estavi)が最初のツイートのNFT(290万ドル)を購入し、自らそれをダ・ヴィンチのモナリザと比較したとき、彼自身とこの技術を愛する多くの人々にとってNFTが何を意味するかについて語った。彼は並外れた芸術的才能による新しい世界の到来、すなわち、ルネッサンスと表現した」と。もちろん、すべてのNFTがアート作品というわけではないが、中には真のデジタルアート作品として制作され、世界最大のオークションハウスによってアート市場の第一線に押し上げられたものもある。Artpriceは、このような新しい形態のアートをデータベースに統合し、その発展を研究し、会員にこの新しい市場に関連するすべての必要な情報を提供したいと考えている。
「レッドチップ」とNFT
オークション領域のNFTの登場は、コレクターが最新のトレンド、つまり「レッドチップ」アーティストに注目するようになったという伝統的なアート市場における最近の変化の延長上にあるようだ。テレビ番組「The Next Big Thing」のプレゼンテーションで、サザビーのヨーロッパにおけるプライベートセールス部門責任者のイザベル・パーグマンは「今や、ルールが覆された」と話す。「従来、アーティストはまずギャラリーの助けを借りて評判を築いて観客を集め、最初のマーケットを構築し、その後は、ゆっくりとセカンダリーマーケットへと進んでいく。今日では、アーティストはインスタグラムを介して観客を集め、突然、地球上で最も望まれるアーティストの一人になる。その結果、まだキャリアの浅い若いアーティストがオークションに出るようになっている」というこのような変化はNFTのテクノロジーと完全に一致している。デジタル作品は、ウェブやインスタグラム、Youtubeなどで自由に流通し、そのデジタル資産は暗号化される。