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愛知県美術館 特集 「映像人類学をめぐる旅」

愛知県美術館主催による「アートフィルム・フェスティバル」はドキュメンタリー、フィクション、実験映画、ビデオ・アートといった従来の映像のジャンル区分を超える、横断的な視点から作品を選定することで、映像メディアとは何か、その表現とは何かを探求する特集上映会。第24回アートフィルム・フェスティバルは「映像人類学をめぐる旅」を2019年12月8日まで開催する。

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本展は、2019年6月に初公開された愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品最新作である小田香《セノーテ》(2019年)を起点に、ユニークな作品が誕生する背景を映画史的に探求する。セノーテは、メキシコ・ユカタン半島北部に点在する洞窟内の泉で、かつてマヤ文明の時代に雨乞いのため生け贄が捧げられていたとされる場所である。小田はその近辺に住むマヤにルーツを持つ人々にも取材し、現在はダイビング・スポットとしても知られるようになったセノーテの歴史や記憶の古層を洗いだす。本作品はセノーテの成立過程で、映像人類学あるいは民族誌映画と呼ばれるジャンルに多くを負っている。映像人類学の起点は、フランスのリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフの時代である19世紀末まで遡る。リュミエール兄弟は、1895年のシネマトグラフ公開からほどなく、世界各地にカメラマンを派遣し、それぞれの土地で風景や人々を記録していた。

かつて西欧から非西欧地域へと向けられる眼差しには植民地主義的なバイアスがあった。映像においても西欧から来た撮影者が非西欧世界の被写体を一方的に撮影するという暴力性の問題が内包されている。一方、民族誌映画は、撮影者と撮影される被写体が共に映画を作るという”共有”の思想が基調となる。その形成の過程を振り返ることは、近代以降、我々が抱えてきた支配や権力構造の問題を乗り越えるための示唆ともなる。映像人類学的な方法論は、ドキュメンタリーに留まらず、フィクション、実験映画、ビデオ・アートの領域にも波及している。本特集では先行する作例を上映することにより、広範な波及力と映像的イマジネーションが継承されてゆく流れを見れる内容となっている。また「旅」や「水中撮影」、「抽象映像」など、《セノーテ》にまつわるキーワードを抽出し、関連する作品も上映する。

関連イベント

■ 講演 港千尋(写真家、評論家)

2019年12月5日(木)19:00
小田香《セノーテ》上映に引き続き、写真家、評論家、多摩美術大学教授で、「あいちトリエンナーレ2016」芸術監督も務めた、港千尋氏による講演が行われる。港千尋は1960年神奈川県生まれ。写真、現代アート、映像人類学にまたがる幅広い分野で制作、研究、発表と国際的な活動を続けています。著書に『映像論』(1998年)、『芸術回帰論』(2012年)、『インフラグラム』(2019年)など。東日本大震災後7年間にわたる撮影と考察をまとめた著書『風景論─変貌する地球と日本の記憶』で2019年度日本写真家協会賞を受賞。

■ ディスカッション「映像、メディア系作品の収集と保存」

2019年12月8日(日)14:30
パネラー 竹葉丈(名古屋市美術館学芸員) 、越後谷卓司(愛知県美術館主任学芸員)
1980年代にナム・ジュン・パイクやビル・ヴィオラらの優れた作品が紹介されたことが刺激となり、日本ではビデオ・アートが社会的流行現象となった。この頃、複数の美術館で映像作品を収集する動きが起こるが、当時の標準的なビデオ・フォーマット「Uマチック」のデッキや、ビデオ彫刻、インスタレーション等で用いられたTVモニターも入手困難となっている。今後、これらの作品をどのように保存し未来へと継承するのか、その現状と課題について考える。

展示情報

展示会名第24回アートフィルム・フェスティバル 特集 「映像人類学をめぐる旅」
会場2019年11月29日(金)〜12月8日(日)
会期愛知芸術文化センター12階
アートスペースA
休館日2019年12月2日(月)
入場料無料
主催愛知県美術館