良質なビジュアルと専門的な解説テキストの両面から作家の魅力を深く掘り下げる一冊
CCCアートラボが企画する新アーティストブック・シリーズ『First Selection』が2025年5月2日(金)に創刊される。本書は選りすぐりの作品ビジュアルと、作品を深く理解するためのテキストを収録し、1冊1アーティストを紹介する作品集シリーズ。第一弾は川人綾(かわと・あや)が登場する。
川人は、開催中の「EXPO 2025 大阪・関西万博」にて各国のVIPをもてなす迎賓館に展示されているタペストリーのデザイン・制作監修や、東京・銀座にあるロンシャン ラ メゾン銀座店の店内壁画制作を担当するなど、国内外から注目を集めるアーティスト。研究者である父が取り組む脳神経科学と、自身が今もなお研究に取り組むテキスタイルへの関心から、独自に生み出した手法「グリッド・ペインティング」と配色センスで作品を制作している。5ミリ四方の小さなグリッドを手作業で地道に描き続けていくその手法は、コンピュータを使えば簡単に描けてしまうところを、あえて手描きで緻密に何層にも色を重ね、線の細さや色の配色に至るまで計算し尽くされている。手作業だからこそ生まれるわずかな線のゆがみ、グリッドの大きさの微妙な違い、絵具のムラ、滲み。作品に近づいてみると見えてくる様々な「ズレ」には、手業が生み出す温もりと、視覚的効果が生み出す心地よさが感じられる。
本書刊行を記念し、京都蔦屋書店(5月2日~5月26日)と銀座蔦屋書店(5月31日~6月12日)で個展が開催される。
川人綾
1988年奈良県生まれ、京都府在住。2011年、京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイル専攻卒業。パリ国立高等美術学校交換留学を経て、2019年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻先端芸術表現研究領域修了。主な展覧会に「綴るみなも」(イムラアートギャラリー、2024)、「川人綾:斜めの領域」(京都市京セラ美術館ザ・トライアングル、2022)など。これまで「野村美術賞」(2018)、「2074、夢の世界 グランプリ」(2017)などを受賞している。また大阪・関西万博の迎賓館に展示されるタペストリー制作に参加するほか、ロンシャン ラ メゾン銀座(東京)など話題のコミッションワークやコレクション作品も多数。
『First Selection 川人綾』書籍概要
発売日 | 2025年5月2日(金) |
仕様 | 116ページ、 A4変型 |
価格 | 4,500円+税 |
ISBN | 978-4-8381-9869-6 |
URL | https://tinyurl.com/3j4sa4x4 |