「アルテ・ポーヴェラ」の巨匠へ賛辞を込め再び現代に開かれた展示会
イタリア・ローマを代表するラグジュアリーブランド フェンディは、ボルゲーゼ美術館にて2023年5月28日まで開催する「ジュゼッペ・ペノーネ ユニバーサル ジェスチャー」展を支援する。フランチェスコ・ストッチのキュレーションによる本展は、彫刻の不変の生命力と1960年代後半から1970年代前半にかけてイタリアで興った「貧しい芸術」を意味する芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」の巨匠へ賛辞を込め、再び現代に開かれた展示会となる。
マリアーノ・ロッシの大広間、アポロンとダフネの間、皇帝の間、アイネイアースとアンキーセースの間から庭にかけて、1970年代から2000年代初頭までに制作された30以上の作品が各所に展示される。美術館の華麗な空間に存在しない「何か」を追い求めることから始まった本展は、風景と彫刻の関係に新しい解釈を加えると同時に、本館所蔵のコレクションの古典的な手法に則って制作された古代の彫像が体現されている。芸術と自然の関係を探求する完璧な連続性の中にある道がフランチェスカ・カペレッティのディレクションを特徴づけている。
「ジュゼッペ・ペノーネ ユニバーサル ジェスチャー」展は、比較が目的ではなく、環境に敬意を示しながら「リフレクション」として選ばれた作品を紹介し、要素の「完成」を提供することにより表現されている。大理石や彫刻、装飾など、壮大な鉱物世界を見事に表現した部屋において、ジュゼッペ・ペノーネは葉やレザー、有機的な接ぎ木によって二つの世界を繋ぎ定義している。一方、庭園では金属の世界に目を向けブロンズ彫刻が周囲の豊かな植生と対話し、約40本の新しい鉢植えが加わり、作品をより充実したものとしている。
本展には、「ヴェジェタル・ゲイズ」などジュゼッペ・ペノーネの作品と図像的に関連性の薄い作品や「ブレス・オブ・リーブス」、「トゥ・ブリーズ・ザ・シャドウ」などジュゼッペ・ペノーネの初出展作品が、自律した独自の存在として空間に加えられている。彼の作品に神話が不在することで物語の軸がぶれ、自然の時間や歴史的な過去との関係から新しく不確かな現在が生まれる。
美術館との形式的、または象徴的ないかなる対比からも距離を置き、美術館と周囲の庭園との自然な交流を再び活性化させることを意図しながら、隠された形態を明らかにすることで物質を観察し、美術館のコレクションの数多くの作品にインスピレーションを与えている。
芸術家の介入は美術館を特徴づける形と建築のユニークなバランスを崩すことなく、風景、自然、彫刻が絡み合うバロック様式のゲームを一新し、新しい対話を活性化し、彫刻への疑問を提示し、そしてその歴史と現代の進化を明らかにする。ジュゼッペ・ペノーネの研究は、作品の中心的要素ともなっている人間と植物の近さを探求し、彼の言語と時間や歴史との関係についての考察を生みだす。これらが映し出される中で、古代の彫像の歴史的な時間と交互にアーティストが利用する極めて重要な構成要素は、厳格な必要性を探し求める。横断的で主観的な注視、それは純粋な称賛によって導かれる新たなバランスを目指している。