藤本由紀夫 × 石上純也「山のシューレ2022-水庭は、聴こえない音を見たか?」を開催
那須高原山麓・横沢に位置するカルチャーリゾート「アートビオトープ那須」では2022年6月11日から12日(日)までの2日間、オープンカレッジ「山のシューレ」を開催する。2008年から毎年開催されている「山のシューレ」は今年で15回目を迎え、建築、アート、文化など各界で活躍している建築家やアーティストを講師に招き、文化リゾートホテルならではの様々なプログラムを展開している。
2022年夏の「山のシューレ」は現代アートを代表するコンセプチュアルな音の作家 藤本由紀夫が、今までにないユニークな自然の建築である石上純也設計の「水庭」に作品を設置、また坂茂設計のスイート・ヴィラに自作「音の作品」をインスタレーションして、新たなコラボレーションに挑む。
「山のシューレ2022-水庭は、聴こえない音を見たか?」
現代美術家の藤本由紀夫と建築家の石上純也による対談を中心に、建築家・坂茂設計のスイートヴィラ内に展示された藤本由紀夫の作品を鑑賞するオープンハウスを実施。藤本由紀夫のインスタレーションが設置される「水庭」は日本を代表する建築家の一人、石上純也の傑作であり、那須を代表する絶景スポットの一つとして国内外に広く知られている。この水庭と「世界有数のデュシャンピアン(デュシャン主義者、デュシャン信奉者)」として知られる現代美術家の藤本由紀夫とのコラボレーションは五感で感じる水庭でのアート体験を一層深めるものとなる。
WATER here and there
水庭の各所にオーディオプレーヤーを置く。音源はマルセル・デュシャンの “Erratum Musical” のコンセプトに基づき制作された音がランダムに空間で重なり会い、鑑賞者は水庭を徘徊することにより目と耳でそれぞれの出会いを創作することができる。
水庭の奥に広がる樹木の壁、その奥には渓流がある
樹木の中に入り、椅子に座り、パイプを耳に当てる
目は水庭の景色を体験し、耳は渓流の音を体験する目の水の体験と耳の水の体験
目と耳は異なる世界を体験するears:here
eyes:there耳 渓流
目 水庭EARS WITH CHAIR を樹木を分け入った場所に設置
椅子に座ることにより、視覚は水庭の風景を体験する
パイプを耳に当てることにより、聴覚は渓流の音を体験する
目と耳で異なった水の体験をする
藤本由紀夫 Fujimoto Yukio
1950年愛知県生まれ。世界有数のデュシャンピアン。1975年、大阪芸術大学音楽学科卒業。70年代よりエレクトロニクスを利用したパフォーマンス、インスタレーション、80年代半ばよりサウンドオブジェの制作を行う。音を形で表現した作品や空間を利用した独自のテクノロジーアートを発表。「here & there」「separation & conjunction」「revolution& gravity」「silent & listen」といったキーワードで日常の何気ない物事に注目し、「聞く」という体験を通して「音」という存在の不思議を表出し、新たな認識へと開いていくような活動を行っている。2001年と2007年に、第49回および第52回ヴェネツィア・ビエンナーレに出展。
石上純也 Junya Ishigami
1974年神奈川県生まれ。 妹島和世建築設計事務所を経て2004年、石上純也建築設計事務所設立。日本建築学会アワード、第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展金獅子アワードなど多数受賞。主なプロジェクトに、2008年神奈川工科大学KAIT工房など。主な展覧会に2008年ヴェネツィア・ビエンナーレ第11回国際建築展・日本館代表、2010年「建築のあたらしい大きさ」展(豊田市美術館)、2018年「石上純也 自由な建築」展(パリ・カルティエ現代美術財団)。2019年「ボタニカルガーデン アートビオトープ水庭」の成果が評価され、平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣新人アワード(美術部門)を受賞。
アートビオトープ那須について
アートビオトープレジデンスは同地区に創業した「二期倶楽部」(1986年―2017年)の創業20周年を記念した文化事業として、2007年にオープン。「アートビオトープ」とは「アート」と「生命の場所」を意味する「ビオトープ」という言葉を組み合わせた造語で、動植物が一つの生態系を形作っていくようにアートをテーマに人々が集い交感し合いコロニーを形成していく苗床となることを願ってつけられたもの。アートビオトープ那須ではアーティストの滞在制作を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」プログラムなどを継続的に開催。今後もアートや学びを通じて、様々な年齢や国籍、職業を持つ多様な人々との交流を深めながら、真の豊さを探求していく。