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エスパス ルイ・ヴィトン大阪にて初展示となるジョアン・ミッチェルの2作品『Minnesota』(1980年)と『South』(1989年)

エスパス ルイ・ヴィトン大阪は、アメリカを代表する2人のアーティスト ジョアン・ミッチェルと、彫刻家カール・アンドレの作品を紹介する「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」展に、新たにジョアン・ミッチェルの2点の作品《Minnesota》(1980年)と《South》(1989年)を2021年5月1日(土)に追加し、展覧会にさらなる彩りをもたらした。エスパス ルイ・ヴィトン大阪にて初展示となる2点の風景画は、ミッチェルの晩年に描かれたもの。両作品の炸裂する色彩が、最終的には洗練されたアンサンブルを織りなし、ミッチェルの作品の成熟度を物語っている。

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FRAGMENTS OF A LANDSCAPE
エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景 (2021年)

本展はこれまで未公開のフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品を世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンでご紹介する「Hors-les-murs (壁を越えて)」プログラムの一環であり、東京、ヴェネツィア、ミュンヘン、北京、ソウル、そして今回新たに大阪が加わり、国際的なプロジェクトを通じて、より多くの人々に所蔵作品に触れる機会を提供することを目指している。

ジョアン・ミッチェル

シカゴ美術館附属美術大学で学び、1948年に渡仏、1949年までパリに滞在。拠点とするニューヨークに戻ると、コンラッド・マルカ=レーリ、ウィレム・デ・クーニング、フランツ・クラインが設立した芸術家の集いの場「ザ・クラブ」(「8thストリート・クラブ」とも呼ばれる)の活動に参加。1953年にステイブル・ギャラリーで個展を開催して高く評価されてから2年後、フランスでは北米出身のアーティストたち(シャーリー・ジャフィ、サム・フランシス、ノーマン・ブルーム、ソール・スタインバーグ、ジャン=ポール・リオペル)と親交を深めた。1969年、クロード・モネが住んでいたことで知られるヴェトゥイユに居を構えると、豊かな色彩によって光に寄せる想いを表現しはじめ、その作風は彩られた表面の細分化という特徴を帯び、「抽象的印象派」と見なされるようになる。1980年代初頭、才能の絶頂期を迎えたミッチェルは、今回展示される《Untitled》(1979年)や《Cypress》(1980年) に表れているように、明らかに風景画に回帰している。晩年期の作品に見られる光と色が交互に繰り返される抽象的「モチーフ」は筆遣いがますます自由になっていったことを示している。

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『MINNESOTA』ジョアン・ミッチェル 1980年 油彩、キャンバス(四連画) エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景(2021年) Courtesy of Fondation Louis Vuitton
Photo credits: © Keizo Kioku/Louis Vuitton

カール・アンドレ

建設関係者が多い環境で生まれ育ったカール・アンドレは基礎的な素材を好んで扱い、それは前の世代が実践していた抽象表現主義への反応の表れとも言える。アメリカの画家フランク・ステラの影響を受け、独自のスタイルを確立。早い時期から彫刻に根源的な変化をもたらす試み、床や地面との関係の重視、ダイレクト・カービングの手法に挑戦した。素材は彫刻を施すよりも未加工の状態のほうが興味深いとの信念を抱くようになると、ついには素材に手を加えることを全面的に放棄し、煉瓦や丸太や規格品である合成コンクリートブロック、金属板などをそのまま使うことを選択するにいたる。最も有名な作品の1つは、地面に薄い金属板を置いたものであり、人々に上を歩いてもらうことで芸術作品の神聖視を打破することを意図したもので、あらゆる物体同様、芸術作品も摩耗することがあり得る、摩耗すべきだ、との主張が込められている。今回展示される《Draco》(1979-2008年) は、ウェスタンレッドシダー(ベイスギ) の材木を組み立てた作品であり、展示室の中央に設置されることで来場者の動きを妨げ、展示空間の構造を強調している。

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《SOUTH》ジョアン・ミッチェル 1989年 油彩、キャンバス(二連画) エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景(2021年)Courtesy of Fondation Louis Vuitton
Photo credits: © Keizo Kioku/Louis Vuitton

この2人のアーティストを並べて紹介することで、一見したところ背反する2つの芸術潮流、激烈な色使いによる自由な表現と、あるがままの素材で見せる幾何学的厳密さの奥深さが照らし出される。2人の共通点は根本に迫るアプローチであり、これが作品の周囲に、そして作品と空間との間に緊張を生み出している。

フォンダシオン ルイ・ヴィトン

現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関で、フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指している。カナダ系アメリカ人の建築家フランク・ゲーリーが手掛けた建物は、既に21世紀を象徴する建築物として価値を認められており、芸術の発展に目を向けたフォンダシオンの独創的な取り組みを体現している。2014年10月の開館以来、600万人を超える来館者をフランス、そして世界各地から迎えてきた。フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、本機関にて実施される企画のみならず、他の財団や美術館を含む、民間および公共の施設や機関との連携においても、国際的な取り組みを積極的に展開していくことを掲げてきた。とりわけモスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館の 「Icons of Modern Art: The Shchukin Collection」展やニューヨーク近代美術館での「Being Modern: MoMA in Paris」展、ロンドンのコートールド・ギャラリーの「The Courtauld Collection. A Vision for Impressionism」展などが挙げられる。また、フォンダシオンは、東京、ヴェネツィア、ミュンヘン、北京、ソウルそして新たに大阪にオープンしたエスパス ルイ・ヴィトンにて開催される所蔵コレクションの展示を目的とした「Hors-les-murs (壁を越えて)」プログラムのアーティスティック・ディレクションを担っている。これらのスペースで開催される展覧会は無料で公開され、関連するさまざまな文化的コミュニケーションを通じてその活動を紹介している。

「Fragments of a landscape (ある風景の断片) 」展概要

会期開催中ー2021年7月4日(日)まで
開館時間12:00-20:00
休館日ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋に準じる
入場無料(予約不要)
詳細エスパス ルイ・ヴィトン HP