デジタル技術が可能にする古代美術のあらたな鑑賞体験
文化財活用センターと東京国立博物館は、2023年1月31日(火)から、東京国立博物館内の法隆寺宝物館に、通年で鑑賞できる展示室「デジタル法隆寺宝物館」を開室する。「デジタル法隆寺宝物館」は、常時展示がかなわない法隆寺ゆかりの名宝をデジタルコンテンツや複製でくわしく鑑賞、体験する展示室。
博物館のあらたな鑑賞体験
2023年1月31日からは法隆寺献納宝物である国宝「聖徳太子絵伝」を、8月1日からは「法隆寺金堂壁画」をテーマに、臨場感あふれるグラフィックパネル(複製)と、大型8Kモニターで絵の詳細まで自在に鑑賞できるデジタルコンテンツを展示。また、仮面や装束の当初の姿を考証した復元模造では、かつて人々を魅了した伎楽(ぎがく)という芸能の色鮮やかな世界観にふれることができる。
デジタル法隆寺宝物館 開室後半年間のみどころ(2023年1月31日から2023年7月30日まで)
70インチ8Kモニターでくわしくみる国宝~鑑賞者の操作で絵画の魅力をじっくり鑑賞~
およそ千年前に描かれた国宝「聖徳太子絵伝」の高精細画像を、大型8Kモニターで鑑賞するデジタルコンテンツ 8Kで文化財国宝「聖徳太子絵伝」を体験できる。本デジタルコンテンツでは、原品ではよくみえない聖徳太子の表情までもが8Kモニターに映し出され、聖徳太子の生涯にわたる50以上もの事績から、みたい場面を選んで解説とともに鑑賞するなど、国宝「聖徳太子絵伝」の魅力を8K画質で自在にくわしく楽しむことができる。
臨場感あふれる原寸大グラフィックパネル~絵画の大きさや配置された空間そのものを体感~
かつて奈良・法隆寺の絵殿という建物の内側を飾っていた国宝「聖徳太子絵伝」は、1面およそ縦1.9m × 横1.5mの画面を横に並べた計10面からなる大画面絵画。その原寸大グラフィックパネル(複製)を、法隆寺の絵殿にあったときと同じコの字型の配置に展示。国宝「聖徳太子絵伝」にあらわされた雄大な景観と聖徳太子の生涯を追体験するかのような空間そのものを体感することができる。
よみがえる古代芸能の色とかたち~伎楽でもちいられた仮面や装束の本来の姿を再現~
飛鳥時代に大陸から伝来した伎楽は今日では資料より役名を伝えるのみとなった幻の芸能。現存する伎楽面のほとんどが奈良時代の作であるのに対し、法隆寺献納宝物(東京国立博物館蔵)の伎楽面には、それより古い飛鳥時代の作が含まれる。東京国立博物館と文化財活用センターは、現存する資料から色やかたちについての検討を重ね、本来の姿を再現した伎楽面と伎楽装束を製作した。
法隆寺と法隆寺宝物館
奈良・法隆寺は、聖徳太子の発願により7世紀初頭に建立された名刹。その西院伽藍のうち金堂・五重塔・中門・回廊などの建物は、現存する世界最古の木造建造物として知られている。明治11年(1878)、法隆寺に伝来した宝物300件あまりが皇室に献納された。これらの宝物すべてを収蔵・展示することを目的として、昭和39年(1964)、東京国立博物館に法隆寺宝物館が開館し、平成11年(1999)の建て替えを経て今日に至る。
東京国立博物館
明治5年(1872)創立、2022年3月に150周年を迎えた日本でもっとも長い歴史を持つ博物館。収蔵する文化財は約12万件。日本から中国、朝鮮半島、西アジア・エジプトまでの地域を網羅し、土器や土偶などの考古遺物から浮世絵や刀剣、甲冑、近代絵画など、日本の美術史をたどることのできるコレクションとなっている。
文化財活用センター
2018年に国立文化財機構に設置された、文化財活用のためのナショナルセンター。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動を行う。
「デジタル法隆寺宝物館」開催概要
会場 | 東京国立博物館 法隆寺宝物館 中2階 |
会期 | 2023年1月31日(火)開室 以降は通年展示(半年毎に展示替) |
時間 | 9:30~17:00 |
観覧料 | 総合文化展観覧料もしくは開催中の特別展観覧料[観覧当日に限る]が必要 |