海洋プラスチックを元に詩的な表現を試みるステンシルアーティスト赤池完介の個展が開催
東京・渋谷区の現代アートギャラリー「YUGEN Gallery」にて、ステンシル・アーティスト 赤池完介の個展「ANTHOLOGIAN」が、2023年6月3日(土)から8日(木)の期間に開催される。海辺に漂着したプラスチック片から想像を広げ、彫像画のように表現したステンシルアート作品約20点が展示される。展示作品は、会場とYUGEN Galleryウェブサイトの作家ページにて販売される。
動物の骨のような形の何かが割れた破片。それらを組み合わせていくうちに哀愁漂う肖像画のような絵画が現れる。海辺に漂着した小さなプラスチック片から想像し、詩的な表現を試みるステンシル・アーティスト、赤池完介。展覧会のタイトル「ANTHOLOGIAN」は、“anthology”と“humanity”を組み合わせた赤池による造語である。サーフィンをした帰りに始めたゴミ拾いを「広い海辺で輝く個性に瞬間的に反応し、花を摘むような行為」と捉え、アンソロジーの語源であるanthologiaに元来「花摘み」「花集め」の意味があることから名付けた。
海から上がってサーフボードを担いで帰る時、空いている片手でゴミを拾って帰ろうみたいな暗黙のルールがある。片手だから全部は拾えないのでゴミを選ぶわけだけど、自分が綺麗だと感じたものを拾っていく感覚が面白いと思った。
ー赤池完介
こうして劣化、変形したプラスチック片を家に持ち帰って眺めるうちに、どれもが愛おしい存在に感じられたと話す。現代生活のスピードに合わせて無理矢理生み出され、役目を終えればつまはじきにされる光景に感じた詩的な魅力。海辺のゴミは現代人のぼやきであり、その光景に赤池はSDGsといった社会に喧伝される正義の嘘っぽさや常識から外れてもがく人々の哀愁を見ている。
私たちが目指す再生社会の先に現れるシュールな未来を、奇妙な肖像画のように描き出したシリーズ。スプレーのみで描き切る赤池のスタイルで表現される情感ある陰影など画面から感じられる崇高な印象は、ミレーなど19世紀フランスを中心に興った写実主義に通じるものを感じさせる。
社会のシステムや文脈をジャックし、価値観をずらして見せるストリートアート。これまで、パンクやストリートカルチャーのDIY精神で衝動的なコラージュを主なスタイルとしてきた赤池が、反復と即興の芸術であるステンシル・アートを絵画作品として成立させている点でも注目だ。本展では作品のモチーフとなったゴミと、それを写し取ったデッサンも展示し、作品の理解を深めることができる内容となっている。
来場時にアンケートフォームより回答した方限定で、オリジナルアートブックを無料でプレゼント。 展示作品や展覧会ステートメントが1冊にまとめられた、本展のみのオリジナルアートブック。
『 赤池完介 個展 "ANTHOLOGIAN" アートブック』
- 収録アーティスト:赤池 完介
- B4変型/定価1,650円(税込)
赤池完介 プロフィール
1974年京都生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。2008年ブラジルス・サンパウロにて個展を開催するなど国内外で作品を発表するも、2013年作家活動を休止。2018年よりアーティストとして再始動し、国内バスケットボールBリーグ川崎ブレイブサンダース限定ユニホームのアートワークとデザイン、「Hi-STANDARD x スカパー!#playthegift キャンペーン」ポスター、「NIKE AIRFORCE FRIDAY WORKSHOP」カスタムイベント、「Red Bull Dance Your Style」ノベルティ制作などを手がけながら作品を発表している。
赤池完介 個展「ANTHOLOGIAN」開催概要
会期 | 2023年6月3日(土)〜6月8日(木)※休館なし |
会場 | YUGEN Gallery |
時間 | 月〜金 14:00〜19:00/土・日・祝 13:00〜19:00 |
在廊日 | 6月3日(土)〜4日(日)、8日(木) |
入館料 | 無料 |