写真家マイケル・グエンが切り取るBMWアンサンブル建築の青と白
ドイツバイエルン州ミュンヘンのランドマーク、BMWタワーを筆頭に、BMW Welt、BMW博物館、BMWグループ駐車場、BMWトラス橋から構成されるBMWアンサンブル。中でもBMW Welt(ワールドの意)はバイエルン州で最も人が多く訪れる観光名所で、2015年10月の開設以来、8年間で2000万人の来場者を迎えている。BMWは、1922年5月にバイエルンの州都に本社を置き、この地で100年以上にわたって生産を続けている。
オリンピック公園近くにそびえたつ高さ101mのBMWタワーは、BMWの本社屋であり、4気筒エンジンを模したデザインが特徴である。その麓には、シリンダーヘッドを模した「BMW博物館」が、その向かいにはBMWの世界を体感できる「BMW Welt」がある。1972年の夏季オリンピック開催に合わせて建設されたBMWタワーは、十字に隣り合って配置された4塔の垂直シリンダーが、中央の柱から吊り下げられた構造となっている。設計は、BMW博物館も手掛けた、オーストリア人建築家のカール・シュヴァンツァーが行っている。
BMW Weltは、2007年に約25,000㎡の敷地に建設された。7階建ての高さ28mの建物は、ウィーンの建築事務所 コープ・ヒンメルブラウがデザインを手掛けている。最長180m×最小幅130mの建物は、青い空に浮かぶ雲のような、独特の形状をしている。2本の角のように突き出た両端は、高さ7.5mの橋によってBMW博物館とBMWの工場などに繋がっている。
BMW博物館は、ミュンヘンオリンピック閉幕後の1973年にオープンした自動車の博物館である。銀色の未来的な建物は、「ボウル」とも呼ばれ、直径20mの構造物の上部は、40mの平らな屋根となっている。屋根の上には、特大のBMWロゴが描かれている。
建築家のカール・シュヴァンツァーは、1600台の車を収容するBMWグループの駐車場をも、BMWアンサンブルの一部として調和するように組み込んでいる。
「BMWトラス橋」としても知られている長さ約93mの橋は、レルケナウアー通りを通り、BMW WeltをBMW博物館とBMWタワーと結んでいる。これは、建築事務所コープ・ヒンメルブラウが掲げた建築コンセプトを完成させるものでもある。
マイケル・グエンについて
マイケル・グエンは、ドイツを中心にヨーロッパ各地で活動する、写真詩家。メインストリームから一歩引いたところで、ジャンルにこだわらない芸術写真を撮る。芸術活動の傍ら、写真と芸術のオンラインマガジン「Tagree」の編集長を務める。