建物を解体して、建築に使った土や自然素材をアップサイクルし、よりよくしてその土地へ還す循環創出を目的とした多国籍な環境先進企業が参画する社会実験も実施
ヴェネチアに建設中の日本人建築家 遠野未来の土の建築作品「再生する森 JINEN(自然)」がその完成に向け、山形の出羽三山神社とイタリアのヴェネチアを結んだ上棟式を世界初オンライン配信で2021年5月15日に開催する。上棟式は厳かに、世界屈指の霊山であり修験道の聖地でもある出羽三山神社によって特別に執り行われ、ヴェネチアの会場とリアルタイムで繋いだ国境を超えた神事となる。式は英語・イタリア語の同時通訳付きで行われ、世界に出羽三山の文化や日本の自然観を伝える。
海外で注目を集める土を使った建築を専門とする遠野未来が、イタリアのヴェネチアにあるEuropean Culture Center(以下ECC)から2019年に作品出展の招致を受けた際、GEN Japan (以下GEN)に出展の企画を依頼したことから始まったこの企画。GENは食文化と建築という異なる分野で、いずれも国際的な持続可能性をテーマとした伝統知や環境教育という課題に取り組んでおり、GENの拠点がイタリアにある事から今回の提携が生まれた。
自ずから成るという意味であるJINEN(じねん)の理念を持つ作品は、素材に土、木、竹といったヴェネチア市内近隣で調達された自然素材のみを使用し、この土地の目に見えないエネルギー、イタリアでは古代ローマにおいてゲニウスロキ(Genius loci)と呼ばれていた土地の精霊を具現化したような竹で出来た有機的なダイナミックなフォルムと、天と地をつなぐ土のタワーによって表現。また自然素材に最新のテクノロジーを掛け合わせ、新たなマテリアルの可能性を発信していく。竹 X 3Dプリンターによる設計や、スウェーデン王立大学で開発中の「透明な木材」にする技術など、あらたな自然素材の持続可能な活用を研究していく予定となっている。
ECCがモーラ宮殿を会場に行う展示会場に建設される遠野未来の作品「JINEN」は、ヴェネチアの土や木を使い、その土や木をアップサイクルし、ヴェネチアの地の豊かさを生み出す循環の仕組みによって、より良い状態にして大地へ還す、まさに自然の浄化の役割を果たす持続可能な建築のあり方を提唱するものだ。過去にGENのプログラムに参加し、日本の左官技術を学んだイタリア人の建築家や職人によって、この上棟式の最後に、日本の土(鶴岡市松ヶ岡の土)とヴェネチアの土を混ぜJINENを完成させていく。建築作品JINENには鳥居も神殿もないが、日本の文化における神社のように、その土地の自然の守り神のことを人々が思い出す空間として、また人と土・人間と自然のつながりを肌で感じることができる空間となるだろう。
遠野未来 JINEN展詳細
展示場所 | Time Space Existance展 Palazzo Mora宮殿 |
期間 | 2021年5月22日から11月21日まで 10:00~18:00 (火曜休館) |
遠野未来作品 JINEN 上棟祭 (出羽三山神社)詳細
日時 | 2021年5月15日(土) 日本時間 16:00~17:30 (オンラインストリーミング) |
参加費 | 無料(英語・イタリア語による通訳あり) |
参加登録URL | https://jotosai_jinen.eventbrite.it |