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これからの建築・都市にデータ活用は必要不可欠

約100年の歴史をもつ建築メディア『新建築』が提供している建築情報サービス「新建築データ」が、ローンチから4年目を迎えた。社会のデジタル化に伴い建築や都市を取り巻く情報環境が大きく変わっていくなかで、新建築社は建築をめぐる新たな「知」の可能性を模索すべく、ChatGPTを活用したAIチャットボットサービスの実証実験を開始している。

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「新建築データ」は、雑誌『新建築』と『新建築住宅特集』がこれまで掲載してきた建築プロジェクトの誌面をデジタルデータベース化したもので、現在、1975年から2023年までの間に掲載された約20,000件のプロジェクトを公開、教育や設計の場において多く活用されている。

2022年11月にOpenAIが「ChatGPT」を公開して以降、日本でも大規模言語モデルやそれを活用したサービスへの注目が高まっている。新建築データもまた、AI(人工知能)を使ったチャットサービスの実証実験をとおして、ChatGPTの活用に取り組んでいる。

建築情報を組み込んだAIチャットボットの開発

この実証実験はOpenAIの大規模言語モデル「GPT4」を活用したもので、新建築データに登録されている約20,000件のプロジェクトに関するテキストをGPT4に組み込むことで、対話形式でサービス内の情報を参照できるチャットサービスのプロトタイピング化を進めている。現段階では、以下のような質問への応答が実現している。

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Q.図書館の建築の例をあげて設計のコツを教えてください。

A.図書館の建築の例として、以下のプロジェクトが挙げられます。

1. 藤本壮介建築設計事務所「武蔵野美術大学 美術館・図書館」
2. 仙田満+環境デザイン研究所「石川県立図書館」
3. 類設計室「荒川区立尾久図書館」
4. DIT図書館基本設計プロジエクトチーム+日本設計「大同工業大学図書館」
5. キノシタヒロシ建築設計事務所「小さな図書館のある家」
6. 松田平田設計「明治大学創立130周年記念和泉図書館」
7. 土屋巌建築設計事務所「川越市立図書館」

図書館の設計のコツは以下の通りです。

1. 機能的な連携: 各エリアや部屋の配置を考慮し、機能的な連携を確保することが重要です。
2. 光と空調のコントロール: 貴重な資料を保護するために、光と空調を厳密にコントロールする必要があります。
3. 動線の確保: 多方向への動線を確保し、利用者が自由に移動できる空間を作ることが大切です。
4. 空間の連続性: 階段や吹き抜け空間を利用して、空間の連続性を確保することが求められます。
5. 柔軟性のある空間: 様々な利用に対応可能な柔軟性のある空間づくりを行うことが重要です。
6. 建築意匠と周囲の調和: 周囲の風景や歴史的資源を取り入れたデザインで、建築意匠と周囲の調和を図ることが大切です。
7. 省エネルギー効果: 断熱や結露対策を行い、省エネルギー効果を高めることが求められます。

これらのコツを踏まえて、図書館の設計を行うことで、機能的で快適な空間を実現することができます。

あるいは、以下のように抽象的な質問への対応も進んでいます。

Q. 良い建築とは何か?新建築データのテキスト内容を参照して論じてください。

A. この試みの中で、良い建築とは何かという問いに対する直接的な答えは無いものの、各建築家の言葉からはそれぞれの視点が見えてきます。

ジャン・ヌーヴェルは、建築物をある場所の歴史や文脈に繋がるゲームと表現し、その一部を創造することが建築行為であると言っています。彼はまた、建築という行為が引き起こす幻影、つまりその建物が人々に与える感覚的な体験に重きを置いています。

前川国男建築設計事務所の模型は、その配置計画や広場のデザインが活気ある都市空間をつくり、建物の高層部分が象徴性を提供することを目指しています。

新田正樹の建築は、その場所の自然環境を尊重し、地域の個性を強調することで町の人々に受け入れられ、深く親しまれることを目指しています。

これらの視点は異なるものの、それぞれがアート的な創造性、歴史や社会的文脈への繋がり、そして地域と自然環境への敬意を尊重するという共通の価値観を持っていることが見受けられます。これらは、良い建築の基準として一つの示唆を提供してくれるかもしれません。実際の評価は、それぞれの建築が提供する経験とその建築の使用者や観察者の反応に基づいてなされます。

しかし、これらの議論からは、良い建築とは、美的魅力、機能性、持続可能性、そして人々の精神的、感情的反応のバランスをうまく取ることができる建築と言えるでしょう。その上で、良い建築とは、観念的な価値(歴史文化的な意義、象徴性、メッセージ性など)と感覚的な価値(空間の体験、使い心地、住み心地など)を兼ね備えたものであるとも言えます。

ベータ版を活用したワークショップやトークイベントを開催

今後はまず、新建築データの一般課金ユーザを対象にテスト版のリリースを進めていく予定。テスト版の体験においてはDiscordを活用し、単にチャットボットを体験できるだけでなく、新たな活用や機能の拡張について議論できるコミュニティを作っていくことを念頭にしている。

さらに、今夏よりチャットボットを活用したイベントも企画中。ワークショップやトークイベントの開催を予定しているほか、建築や都市の領域におけるAIの活用についても、積極的に議論の場が設けられる予定だ。