文化人・アーティストたちが描く旅の新しい地図
ルイ・ヴィトンが手がける「シティ・ガイド」シリーズに、2025年秋、ベルリン、ケープタウン、成都、ドバイ、マラケシュ、メキシコシティ、ミラノ、上海の改訂版が加わった。現在、世界35都市を網羅する本シリーズは、1998年の誕生以来、都市を“読む”ための新しい旅の手引きとして愛され続けている。各地を紹介するのは、ルイ・ヴィトンが厳選したライターやアーティストたち。彼らの鋭い感性と独自の視点が、街をただの目的地ではなく、文化と人間の物語が交錯する“舞台”として描き出す。
都市を語るのは創造する人々
新版ではマラケシュを探訪する乗馬師であり調教師のサデック(Sadek)、ベルリンの街を案内する文化財返還の専門家ベネディクト・サヴォイ(Bénédicte Savoy)、メキシコシティを語るシェフのエレナ・レイガダス(Elena Reygadas)、そしてケープタウンを物語る作家ジャスティン・フォックス(Justin Fox)など、多彩なクリエイターが登場する。彼らの言葉は、観光ガイドの枠を超え、土地の文化、記憶、そして人々の感情に寄り添う。例えば、サデックが語るマラケシュは、砂漠の静寂と馬の息づかいが交わる詩的な空間として立ち上がる。サヴォイのベルリンは、歴史と芸術の再解釈の場として描かれ、レイガダスのメキシコシティは食文化の奥深さを、フォックスのケープタウンは文学的な感性を通して紹介する。
言葉の職人たちによる文化の航海
「シティ・ガイド」を形づくるのは、世界各地の著名なジャーナリスト、ライター、アーティスト、作家たちである。彼らはそれぞれが異なる文化圏で生きながら、街の“こころ”をすくい上げる観察者でもある。ルイ・ヴィトンはこのコレクションを、単なる観光案内ではなく、言葉と感性の記録として構築してきた。軽やかでエレガント、そしてユーモラスな筆致。寄稿者たちは取るに足らない日常の瞬間と、都市を象徴する本質的な出来事の両方に等しい価値を見いだす。彼らが描く街は、常に「体験される文学」であり、読む者を旅へと誘う。
スペシャルゲストによるパーソナルな旅
各ガイドには、著名人や地元の文化人がスペシャルゲストとして登場する。フィギュアスケーターのサラ・ウルタド(Sara Hurtado)はマドリードを、舞台演出家オードリー・フランシス(Audrey Francis)はシカゴを、アーティストのミシェル・ラミー(Michèle Lamy)はヴェネツィアを、そして詩人の翟永明(Zhai Yongming)は成都を案内する。彼らが紹介するのは、観光地ではなく、個人的な記憶とつながる場所。小さなカフェや路地裏のギャラリー、友人と語り合う夜のバー。そんな「私的な地図」が、読者に都市との新しい関係を見せてくれる。
都市の表情を捉えるフォトグラファーたち
「シティ・ガイド」には、パリを拠点とする写真家集団タンダンス・フルー(Tendance Floue)による撮り下ろしの写真が添えられている。彼らはそれぞれの都市を訪れ、日常の陰影や光、瞬間の空気を繊細に捉える。その写真は、文章を補足するものではなく、もうひとつの視点として存在する。街を歩く足音、カフェのガラス越しの表情、夜明け前の橋の上の光。フォトグラファーたちは、都市そのものの“呼吸”を写し取っている。
書籍としての美学、そして旅の哲学
「シティ・ガイド」は書籍版とデジタル版で展開される。iPhoneやiPadで利用できるアプリでは、数千に及ぶアドレスや特別寄稿、散歩コース、カルチャー情報を網羅し、常に更新され続ける。さらにルイ・ヴィトン初のコネクテッドウォッチ「タンブール ホライゾン」からもアクセス可能で、Apple TV版では映像プログラムも楽しめる。その根底にあるのは、創業者ルイ・ヴィトンの孫、ガストン=ルイ・ヴィトンが愛した「書物と旅の融合」という理念である。ルイ・ヴィトンにとって、本は単なる媒体ではなく、旅と文化をつなぐ“もう一つのトランク”となっている。
「ルイ・ヴィトン シティ・ガイド」書籍情報
| 発行 | 2025年10月17日 |
| 価格 | 書籍版 4,400円(税込) / アプリ版 1都市 1,220円(税込) |
| 販売 | ルイ・ヴィトン ストアおよび louisvuitton.com |

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