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カルティエ現代美術財団主催の展示会にアーティスト ロン・ミュエクの彫刻作品群が登場

パリにあるカルティエ現代美術財団は、オーストラリア出身のアーティスト ロン・ミュエクの個展を、2023年6月8日から11月5日まで開催する。ミュエクの代表作とともに、本展のために制作された一連の新作彫刻やフランス国内で未公開の彫刻作品群が展示される。

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Mass (2017) © Tom Ross

本展の見どころは、オーストラリア国外で初公開となる記念碑的なインスタレーション「Mass」(2017年)や、本展のために制作された一連の新作彫刻。2005年にカルティエ財団が開催したミュエクの個展は、待ち望まれたこの作家の稀少な作品をフランスの鑑賞者に紹介する初の機会となった。3度目の開催となる本展は、財団と作家との対話の続きとして、ミュエクの芸術活動における近年の進化を提示するものである。カルティエ財団は現在、フランスでミュエクの作品を所蔵する唯一の機関である。

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Ron Mueck’s studio, Ventnor, Wight Island, United-Kingdom, 2023 © Gautier Deblonde

1958年にメルボルンで生まれ、1986年よりイギリスに在住するロン・ミュエクは、普遍的な被写体をテーマとしながら、現代の具象的彫刻(フィギュラティブスカルプチャ)を根底から覆し、全く新しい解釈を与える作品群を展開。常に規格外のサイズで制作される作品は、不気味な違和感を植え付ける。いずれの作品も、制作には数ヶ月から、時には数年の歳月を要する。これまで25年余りの作家人生を通して48点の作品を制作したミュエクの最新作は、「ロン・ミュエク」展の開催に合わせて完成された。

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Ron Mueck’s studio, Ventnor, Wight Island, United-Kingdom, 2023 © Gautier Deblonde

「Mass」:新たなクリエイティブプロセスの模索

その規模と野心において、記念碑的なインスタレーション「Mass」は本展の目玉であるとともに、作家の制作活動のマイルストーンを象徴する作品。2017年にビクトリア国立美術館(オーストラリア、メルボルン)の依頼で制作された「Mass」は、高く積み上げられた100個の巨大な人間の頭蓋骨で構成された壮大な作品で、各会場に合わせて作家が再構成をしている。このインスタレーションは、鑑賞者に物理的・心理的体験を提供し、魅了しながら、人間の存在の根本的側面について考察を促す。タイトル自体が、この作品の多様な解釈を暗示しています。無秩序な山積み、あるいは宗教儀式といった、「mass」 という言葉が持つ複数の意味が、鑑賞者それぞれの個人的な出会いの出発点となる。頭蓋骨のイコノグラフィは、それ自体が曖昧なものであり、美術史においては人間の命の短さを連想させ、大衆文化においてはどこにでも存在するものである。

人間の頭蓋骨は複雑な物体であり、私たちがすぐに認識できる強力なグラフィックアイコンです。知っていると同時に知らなくもあり、見る者を寄せ付けない不気味さと、魅了する力の両方をもっています。無視することは不可能であり、潜在意識レベルで注目を要求します。

ーロン・ミュエク

頭蓋骨は、群として展示される。個人の集合体が、否応なしにも鑑賞者に押し迫ってくる作品である。この点で、「Mass」は、個性的な個々の人間を体系的に描いた作家のこれまでの作品とは一線を画するものとなっている。カルティエ現代美術財団主催「ロン・ミュエク展」がパリで開催

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Ron Mueck’s studio, Ventnor, Wight Island, United-Kingdom, 2023 © Gautier Deblonde

また、同じくフランス初公開となる作品「Dead Weight」(2021年)は、重さ2トン近い鋳鉄製の頭蓋骨である。ミュエクの作品の典型である自然主義的アイデアとは対照的に、本作品ではあえて鋳造の痕跡を残し、プロセスや素材の生々しさをそのまま表現している。さらに、本展のために制作された壮大な新作、威嚇的な大型犬の集団も披露される予定だ。ミュエクは、2013年にカルティエ財団で開催された個展の準備段階からすでに、この作品を構想していた。

フランス人写真家ゴーティエ・ドゥブロンド(Gautier Deblonde)が、ミュエクのスタジオで最新作2点の制作過程を撮影したショートムービーは、カルティエ財団のデジタルプラットフォームで公開予定である。

「ロン・ミュエク展」開催概要

会期2023年6月8日ー11月5日
会場カルティエ現代美術財団
ウェブページhttps://www.fondationcartier.com/en/