存在への感性を再確認する
「デザインの実験展 | 或ると在る / alu & aru design lab.」が2024年9月17日(火)から9月28日(土)までFabCafe Kyotoで開催される。本展は京都芸術大学プロダクトデザイン学科 大江孝明教授によるCMF(Color/Material/Finish = 色/素材/仕上)の実験の過程を制作物とともに公開する展示企画。実験をとおし「在る」ことの影響力を考え、「在る」ことに対する敬意を考える内容となっている。
今回の実験、意味は手法の方にあります。アウトプットは単なる結果であり、実験の可能性を計るものです。しかし、結果がとても魅力的で、我々が持つ存在への関心を惹きつける物が生まれてきました。
この実験を通して“在る”ことの影響力を考える頻度が増えました。プロダクトデザインに携わっていると、明確な機能を問われることが殆どです。そういう道具を私も沢山デザインしてきました。でも、在る事が既に我々に影響力を持ち、それが機能と言える道具の可能性がこの実験結果にはあります。
日本は、存在に意味付けをし、意味から文脈を作り、暮らしと結びつけて、生きる時間を豊かにしてきました。それとは反対に、意味付けをしなくても、存在に対して言葉にできない気配を感じる感性を大切にして文化を醸成してきました。
反対の事のようでこれらが表裏一体なのは、存在への敬意がベースにあるからです。現代社会がバランスを崩しているのは、この存在への敬意が薄れて来ているからのように思えます。 存在への敬意は、相手が道具でも、生物でも、人でも大きな差は無いと思います。それは存在している事実は変わらないからであり、存在に関する感性を我々が維持できているかの問いだからです。
存在への感性を失い、自分以外の存在を軽視し、摩擦を生み、生きづらい社会にしてしまわないよう、私たちが暮らしの中で育まねばならない感性があります。
道具の研究を通して、その感性を育む何かを道具化することが、私の研究の目標なのです。大江孝明(京都芸術大学 プロダクトデザイン学科 教授)
大江孝明
道具と人との間に新しい関係性を構築する研究、或る道具だからこそ果たせる役割の研究、文化を持続するための道具の研究を3つの柱に、暮らしの道具に関するデザインを研究している。KONSTFACK(Sweden)、Weissensee Academy of art Berlin(Germany)など海外の大学でも客員教授を務める。2024年から 研究やデザインの取り組みを、或ると在る / alu & aru design lab. として運営。
「デザインの実験展 | 或ると在る / alu & aru design lab.」開催概要
会期 | 2024年9月17日(火)~9月28日(土)※日月休 |
会場 | FabCafe Kyoto |
URL | https://tinyurl.com/mrykfdph |