糸が紡ぎ出す繊細なラインとその周縁に漂う「気配」が重なり合う
現代美術作家・菅野湧己による初個展「気配」が、biscuit galleryで2026年4月11日(土)から4月19日(日)まで開催される。菅野は2026年3月に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を卒業したばかりの新進気鋭の作家。菅野は、誰もが目にしたことのある製品パッケージやラベルを、あえて「糸」という素材のみを用いて再構築する手法で制作を続けている。
菅野の作品は一見するとポップでキャッチーなその佇まいは、私たちの日常に溶け込む親しみやすさを携えている。しかしその中空の造形からは私たちが日々繰り返している「消費」という行為の残像が浮かび上がる。そこに実体としての「物」はなく、「気配」のみが残っている。しかし、糸によって縫いとめられた作品には、かつて誰かがその物に触れ、消費し、生活を営んだ痕跡が宿っている。本来、記号として消費されるはずのパッケージが、機能を失い糸の集積へと変容したとき、それは私たちに何かを問いかける。
アーティストステートメント
私は、記録されなかった記憶の気配を縫っている。
消費され、使われ、やがて手放されていくものたち。
それらの形は、設計やデザインとして制度のなかに残される。
しかし、それに触れていた感覚や記憶は、どこにも保存されない。私が縫うのは、残らなかったものたちである。
機能を終えた物の構造を、糸のみで縫いとめるとき、
本来の役割は失われ、形だけが空間に残る。そこには、かつて触れられていた身体の痕跡が、
かすかにとどまっている。やがて形すら失われ、
輪郭がほどけていくこともある。
具体性を失ったあとにも、わずかな痕跡は漂い続ける。それは、形を持たない記憶の状態である。
本展「気配」は、制度に保存されなかったそれらの残存を、
空間に縫いとどめている。菅野湧己
菅野湧己個展「気配」開催概要
| 会期 | 2026年4月11日(土)~4月19日(日) |
| 時間 | 13:00〜19:00 ※月曜・火曜休み |
| 会場 | biscuit gallery |
| URL | https://tinyurl.com/mswp7r55 |

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