カタールのシンボル建築「イスラム美術館」がリニューアルオープン
カタールにあるイスラム美術館(Museum of Islamic Art: MIA)が、施設改良と常設展示室の一新を完了し、2022年10月5日に一般公開を再開する。常設展示室では、既存作品に加え、新たに収集された作品を含む1,000点以上の展示品が公開される。世界的に名高いプリツカー賞受賞の建築家I.M.ペイが設計し、2008年に開館したMIAは、世界有数のイスラム芸術の殿堂として知られている。このたび、カタールの国家的な文化活動プロジェクト「カタール・クリエイツ」の一環として、2022年のFIFAワールドカップ・カタールの開催に合わせてリニューアルオープンを果たす。
リニューアルオープン後間もなく、企画展「Baghdad: Eye’s Delight」(2022年10月26日~2023年2月25日)が開催される。本企画展では、アッバース朝(750-1258年)の首都であったバグダッドの伝統的遺産、また20世紀以降再び芸術、文化、商業の中心地として栄えた同都市の後世に残すべき遺産が紹介される。
一新したコレクション ギャラリーでは、わかりやすいガイドツアーや、展示作品の説明資料の他、家族連れや若年層の来館者のアクセシビリティ向上のため、新たにモバイル機器や子ども向けの資料を導入する。各ギャラリーは、歴史的・文化的テーマ、時代、地域ごとに構成され、伝統的なイスラム工芸を展示する。また新たに「東南アジアのイスラム」に関するスペースを設け、イスラム世界とそれ以外の世界の商品取引や思想の交流に関する展示を通じて、異文化のつながりに焦点を当てている。
イスラム美術館(MIA: Museum of Islamic Art)について
2008年に設立されたイスラム美術館は、芸術文化機関として様々な文化体験を提供するカタール博物館によるプロジェクトのひとつとしてオープンした。中国系米国人の著名な建築家I.M.ペイが設計し、ドーハのコーニッシュの埋立て人工島に建てられた。コーニッシュのウォーターフロントを一望できる場所に建つMIAは、イスラム芸術の道標であると同時に、過去と現在、東洋と西洋をつなぐ、国際的な対話と交流の場でもある。
同美術館では、カタールが保有する約1,400年にわたるイスラム美術のコレクションが展示されている。7世紀から20世紀までのイスラム芸術のあらゆる分野を代表するMIAコレクションには、さまざまな手稿や陶磁器、金属、ガラス、象牙、織物、木材、宝石などが含まれている。これらの作品は中東諸国は元より、はるかスペイン、中国など、3つの大陸から収集したもの。イスラム世界の遺産を紹介する展示を随時開催しているほか、学校の生徒や家族向けの教育活動も充実させており、地域社会になくてはならない美術館としての役割を果たしている。毎年数十万人の来場者を迎えるMIAは中東のみならず国際的にも高い人気を誇る美術館で、2017年からジュリア・ゴンネッラ博士が館長を務めている。