リアルとデジタルの融合 工芸とARの融合を表現した作品
京都で美術商を営む古美術鐘ヶ江とIoTクリエ―ターの育成やスタートアップ事業を支援するクロステック・マネジメントは、工芸の次のすがたを実現させる運動KOGEI Nextとして2022年3月10日(木)からはじまる「アートフェア東京2022」へ出展する。KOGEI Nextでは伝統に縛られる工芸家たちを解放し、その超絶技巧を活かしたこの時代らしい作品を発表する。
鉄鍛金家・本郷真也の《Visible01》、ガラス作家・つのだゆきの《ネッタイシマカ》、ベルリン在住、スイス人のアーティストデービッド・ビエランダーの《Digital Watch》の3作品は AR / 拡張現実技術を活用し、今や私たちの生活に切り離せなくなったデジタル空間を取り込み、アナログやデジタル、工業や工芸、国といった概念を超えて、現代アートとしてこの時代にしか出来得ない超絶技巧+αの作品として展示する。
《Visible01》本郷 真也
本郷真也がまさに心血を注いで完成させた鉄のカラス《visible01》は、2021年11月の六本木ヒルズで開催したKOGEI Next展で発表し注目を集めた。今回は本作のさらなるデジタル次元との融合を試み、各デバイスで彫刻内部を鑑賞出来る様に開発を進めている。アートフェア東京ではブース内に置かれたiPadで体験できる予定。
《ネッタイシマカ》つのだゆき<With special glass bracelet and AR application>
つのだゆきの精巧なガラス細工にデジタルAR表現を組み込み。各デバイスに専用アプリをダウンロード後、カメラでこの蚊を撮影すると腕に蚊が飛んでくる。一見コメディの様に感じるが、ネッタイシマカは熱帯特有の感染症を媒介することで知られ、「貴方の血を吸った蚊はネッタイシマカかもしれません」というメッセージには地球温暖化への警鐘が内包されている。
《Digital Watch》デービッド・ビエランダー
ベルリン在住のデービッド・ビエランダーが制作した本作に使われているのは、小型家電などのCPUから再資源化された日本の都市鉱山由来の金で腐食に強く優れた電気伝導率を持つため、金はデジタル世界になくてはならない縁の下の力持ち。本作は私たちの目には見えない場所で活躍する金の社会的役割と美を顕在化している。使用されている80gの金とは携帯電話で言えば、約3,000台に使用される量に匹敵する。過去に自分の手の中にあった金も含まれているかもしれない富士着な感覚、そして今もこの金たちはデジタル世界を動かす大きな力を持っているというメッセージを投げかけている。
KOGEI Nextについて
工芸作家とこれまで関わりの薄かった現代社会とをつなげることで生まれる作品や活動、自然環境や社会課題との関わりを通じて、モノとしてだけではない新たな価値を持った、工芸の次のすがたを実現させる運動。
古美術鐘ヶ江について
京都大徳寺総門(京都市北区)正面でギャラリーを運営。時代屏風、近代美術工芸品、彫刻などを中心に現代美術まで多岐の分野を取り扱う。現代の工芸家たちと100年、200年先に古美術作品となった時に、真に誇れる作品を作ろうというプロジェクト Japanese Sculpture Next 100 years projectにも取り組んでいる。