バリ島のユネスコ世界遺産の麓に開館する、建築全体が作品の美術館
現代美術作家・寒川裕人の常設美術館「Eugene Museum in Bali」がインドネシアのバリ島に建設される。今年の夏に着工、2026年に開館を予定。海と緑に囲まれた敷地に広がるこの美術館の建築は、2022年にアガ・カーン建築賞を受賞し、インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティン(Andra Matin)が設計を手がけ、建築全体が作品となるような構成で進行している。美術館はライフスタイル、アート、教育、環境配慮の統合をコンセプトに緑豊かな海と森林の景観に包まれたタバナンの約44haのエリア内に位置し、総面積は約1ha、施設の総面積は約5,000㎡となる予定。
また関連企画として、2023年より日本のアトリエ(EUGENE Atelier iii)を事前予約制で一般公開中。本プログラムでは700㎡を超える空間が、寒川不在時に組数限定で公開されている。インスタレーション作品《Goldrain》の展示や、新たな夜間プログラムのほか、新作や Eugene Musuem in Baliの模型などを鑑賞できる。一般公開枠についてはインスタグラムにて随時情報を更新している。
寒川裕人 / ユージーン・スタジオ
寒川裕人(Eugene Kangawa、1989年アメリカ生まれ)は、物理法則に基づいた環境やペインティングを構築するコンセプチュアルなアプローチで知られる現代美術作家。主な展覧会に「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」(2021-22年、東京都現代美術館)、「De-sport」(2020年、金沢21世紀美術館)、「THE EUGENE Studio 1/2 century later」(2017年、資生堂ギャラリー)、「89+」(2014年、サーペンタインギャラリー、ロンドン)への作品提供等。東京都現代美術館では同館で個展を開催した最年少作家となった。
アンドラ・マティン(Andra Matin)
1962年インドネシア西ジャワ州バンドン生まれの建築家。1981年バンドンのパラヒャンガン大学建築学部卒業。1990-98年、Grahacipta Hadiprana勤務。1998年事務所設立。1999年IAI賞受賞、2018年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展特別賞受賞、2022年アガ・カーン建築賞受賞等、受賞多数。住宅や美術館、モスクなど幅広く手がけるインドネシアを代表する建築家の1人。代表作に「ブリンビンサリ空港」(2010年)、「ポテトヘッド」(2010年)、「Tubaba Mosque」(2017年)など。