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世界の在り方や自然との関係性についての新たな解釈

麻布台ヒルズギャラリー」は、2023年11月24日(金)から2024年3月31日(日)まで、開館記念展「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」を開催する。オラファー・エリアソンは、ジャンルを横断する多様な作品だけでなく、環境問題などの社会的課題への積極的な取り組みでも世界的に注目されているアーティスト。大型インスタレーションをはじめとするエリアソンの作品は、自然現象や、その要素である色や光、動きが導く知覚体験を通して、世界の在り方や自然との関係性についての新たな解釈を観る者に促す。

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本展メインビジュアル(2種)

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《蛍の生物圏(マグマの流星)》
2023年
撮影:Jens Ziehe

本展では、麻布台ヒルズの開業にあわせて制作された新作のパブリックアート《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》(2023年)で取り組んだ主題を軸に、新作インスタレーションや水彩絵画、ドローイング、立体作品を通し、線や振る舞い、動きなどのモチーフを探求。光と水を使った大型インスタレーション《瞬間の家》(2010年)や、複雑に屈折する光を内包する幾何学立体の《蛍の生物圏(マグマの流星)》(2023年)、太陽光や風といった動力で描いた新作ドローイングなど、自然現象から幾何学、物理や動作パターン、色彩学に関する研究に裏付けられた、知覚に訴えかける作品群を紹介する。

副題《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》は、麻布台ヒルズ森JPタワーのオフィスロビーに設置された、オラファー・エリアソンによるパブリックアートの作品名。本展では、この作品で取り組んだ主題を、新作のインスタレーションや立体作品を含めさらに探求していく。

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《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》(部分)
2023年
展示風景:麻布台ヒルズ森 JPタワー オフィスロビー、2023年
撮影:木奥 恵三

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《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》(部分)
2023年
展示風景:麻布台ヒルズ森 JPタワー オフィスロビー、2023年
撮影:木奥 恵三

本作は、天井高約15mの吹き抜け空間に連続的に吊るされた、直径約3mにおよぶ4つの彫刻により構成されており、スタジオ・オラファー・エリアソンが長年続けてきた幾何学的形体の研究や地質学的な時間に対する概念的な問いに基づき、初めて再生金属が使われた。

彫刻の形状は、ひとつの点がねじれながら移動する軌跡を描いたもので、人々の行動、求心力、自由に動くダンスなど、あらゆるものの運動を表現するかのよう。徐々に複雑になるこれらの形は、振動を表すリサジュー曲線に着想を得て、そこからダイナミックな立体に転換された。細部に目を向けると、菱形、凧型、三角形で構成される十一面体を多数繋ぎ合わせることで全体が形作られていることがわかる。

本展の見どころ

水を用いた大型インスタレーション《瞬間の家》

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《瞬間の家》
2010年
撮影:Christian Uchtman

天井高5m、全長20mを超える暗闇の空間にストロボの光で瞬間的に照らされ展示される本作は、2010年に発表された作品を本展に合わせ再構成したもの。水と光というシンプルな要素によった無限に生み出される水の曲線の抽象表現は、エリアソンが長年取り組んでいる幾何学形体の研究や自然素材に内在する美しさへの理解を促す。

世界初公開となる新作《呼吸のための空気》を含む、日本初展示作品15点を展示
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《呼吸のための空気》(コンセプト・ドローイング)
2023年

《呼吸のための空気》(2023年) は、本展のために制作された新作。本作は、森JPタワーに設置されたパブリックアート《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》と同じモジュールとリサイクル素材を使用している。これら2つの作品は、オラファー・エリアソンが再生金属に特化して制作した初めての作品であり、スタジオのサステナビリティへの継続的な取り組みにおける重要なマイルストーンである。

他にも、カタールの砂漠で太陽光や風力などの自然エネルギーで制作したドローイング・シリーズ、振り子の動力のみで稼働し、会場内でドローイングを生成するドローイングマシン《終わりなき研究》(2005年)など、日本初公開の作品群が出展される。

スタジオ・オラファー・エリアソン・キッチンとの日本初コラボレーションが決定

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スタジオ・オラファー・エリアソン
キッチンでの昼食の様子(2017年)
撮影:María del Pilar García Ayens

麻布台ヒルズギャラリーカフェでは、展覧会の会期中限定で、スタジオ・オラファー・エリアソン キッチンとコラボレーションし、東京近郊の食材を使用した特別メニューを考案。ベルリンにあるエリアソンのスタジオに日本からシェフを派遣し、本展のためのオリジナルメニューを共同開発した。スタジオの創作的な家庭料理を楽しみながら、彼らの姿勢や環境に対する考え方に触れることができる。

アーティストステートメント

すべてのものごとは、たとえ安定しているように見えるものでさえ、大きなスケールで見れば動きのなかにある。私たちの惑星、太陽、そして太陽系は、天の川を駆け巡り、中央のブラックホールを取り囲むように動いている。同時に、よくよく目を凝らせば、この世界は種々の構成要素から成り立っており、それらはまだ見ぬ「現実」の足場でもある。今のところ、私たちは夢のレベルでしかこれにアクセスできない。アートとは、想像力を駆使して、不可能を可能にし、見えないものを見えるようにすることなのだ。 オラファー・エリアソン

オラファー・エリアソン / Olafur Eliasson

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撮影:Lars Borges

1967年生まれ、アイスランドとデンマークで育つ。現在は、コペンハーゲンとベルリンを拠点としている。1995年にベルリンに移住し、スタジオ・オラファー・エリアソンを設立。現在は、職人や建築家、アーキビスト、研究者、管財人、料理人、プログラマー、美術史家、専門技術者からなる大規模なチームによって構成されている。1997年以来、インスタレーション、絵画、彫刻、写真、映像など、幅広いジャンルの作品を発表、世界の主要美術館で個展を開催。2019年には国連開発計画による再生可能エネルギーと気候変動対策の親善大使に任命される。2023年、第34回高松宮殿下記念世界文化賞の彫刻部門を受賞。

スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン

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「スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン」
(2016)

ベルリンに設立された「スタジオ・オラファー・エリアソン・キッチン」では、週に3日食事が提供され、スタジオのチーム全員と、その時たまたま訪れたゲストやコラボレーターが家庭的なスタイルで分かち合う。オーガニックで、CO2排出量を抑えたヴィーガン・ベジタリアン対応の食事には、近郊の有機農場で採れた旬の野菜が使われている。2016年には、ファイドン社から料理本が出版された。

麻布台ヒルズギャラリー

「経済だけで文化がないような都市では、世界の人を惹きつけることはできない」との強い想いから、これまでも「文化」を都市づくりにおける最も重要な要素の ひとつと位置付け、森ビルはヒルズごとに個性的な文化施設を創出し、ヒルズ内の各所にパブリックアートを設置してきた。「街全体がミュージアム」をテーマとする麻布台ヒルズにおいて、「麻布台ヒルズギャラリー」は文化発信の中核となる場所。「麻布台ヒルズギャラリー」は、美術館仕様の施設・設備を備えており、アート、ファッション、エンターテインメントなど、多様なジャンルの文化を発信していく。

「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」開催概要

会期2023年11月24日(金)~ 2024年3月31日(日)
時間10月中旬情報公開予定
会場麻布台ヒルズギャラリー
料金10月中旬情報公開予定
主催麻布台ヒルズギャラリー
後援アイスランド大使館、デンマーク王国大使館
企画片岡 真実(森美術館 館長)、德山 拓一(森美術館 アソシエイト・キュレーター)
URLhttps://onl.tw/cQgB6fz