まずはじめに、私はデザイナーというよりはデザインディレクターになりたくて、デザイン会社に入社させて頂きました。しかし、この業界に入り29年になります、私なりに考えを述べさせていただきます。

アート(芸術・美術)⇒アーチスト(芸術家・美術家)
デザイン(構想・計画・設計・意匠)⇒デザイナー(意匠図案家・設計者)

色々と人によっては考え方が違うと思いますが、アート・アーチストについては自分が好きな物、事を想像、作成し、自分の価値観で作品に値段を付ける(仲介業者の事は今回は別にします)。そこで、私の考えるデザイン・デザイナーとはクライアント(依頼者)の目的を果たしながら設計をし対価を頂く職業だと思っています。従ってデザインとは「多くの人々の幸福に貢献したり、文化を大切にしたり、常に生活の中にかかわっている物」だと思います。自分ひとりだけの考えではなく、様々な物を組み合わせる。意見、文化、土地柄、自然、、人など色々な観点から入り構想する物だと考えます。


デザインした物が後々、芸術・美術と言われたり思われたりすることもありますが、それはそれで素晴らしい事だと思います。先程、言ったように生活の中にかかわっている物なのでデザインは常にビジネスと関わりがあります。自分が構想・計画・意匠した物が企業などの経営に多少なりとも関わっていると思われます。私がこの仕事をしている時にクライアントから良く言われることが、「おかげさまでお客様が沢山来るようになったよ」
このケースは結果が良かった場合です。


逆に「う~ん、厳しいね。もう少し、あーすれば、こーすれば良かったかな~。」などと言われた事もあります。デザインが良かったからお客様が来た。デザインが悪かったからお客様が来ない。確かにこの理由だけで入店客数の良し悪しは解りません。扱う商品やサービス、ターゲットなど様々な理由が考えられます。しかし、デザインとはこういった物で常に結果が問われます。顧客にとっては最後のよりどころというか。どこかに何かを言いたい時にデザインに来ると思います。車や工業製品などは解りやすい例ではないでしょうか。流行っている物は良いデザイン。世の中で良く目にするものは良いデザイン。

そして、それらの類似品がよく出回ります。私が思うに「真似されるデザインは良いデザイン」と考えます。ここからはビジネスという話から変えましょう。
デザインとは歴史・文化の継承と考えます。私は「古い物の中に新しい物がある」と常に思っています。新しい物を先に考えるより、古い物を見て構想を思いつく。この方が早く意匠までたどり着けます。元々、古い物は生活との密接な関係の物が多く、今でもその原型が残って使用されているものが多数有ります。という事は機能性もあり形も素晴らしい物が多いと言う事です。

よく昔、美術館や海外などに行くときに先輩達から本物を良く見なさいと言われました。その時は観方も何も解らず、ただ観ていましたが最近ようやく解るようになりました。
それらを、今風にアレンジし世に出す。おそらくデザインとはこういう事だと思われます。何か記憶に残っている物があり、それが構想させ手を動かさせる。物真似、おおいに結構。ただ、そのままでは流石にデザインした事にはならないでしょうね。自分で構想・設計・意匠をしたわけではないので。
物真似の仕方です。考えを真似するのか?形を真似し素材を変えるのか?一部を真似するのか?他にもあると思いますが、これもデザイン(構想・計画・設計・意匠)です。しかし、ここでもやはりデザインは依頼者があっての事なので古い物を選ぶ時も「用途に適した物」でなければなりません。常に依頼者の考えにあった物を心がけるようにしています。

もうひとつ、私がデザインを考える時には必ずモチーフを探します。植物、工業製品だったり、身近にあるもの、あらゆる物です。それをヒントに構想しデザイナーに引継ぎます。
デザインは「解りやすく」なくてはいけないと思います。コンセプトから意匠に至るまでが明確にならないといけない。デザインの話をしていて少し難くなってしまいましたが、私は自分が関わった仕事の事で嬉しいのは二つあります。

OPENの時と無くなった時です。
OPENの時とは、来場されるお客様の顔の表情や意見です。当然、新しく出来た物なので笑顔が多いですが見ていてホットします。何か話されているお客様の近くに行き何を話しているのか?興味しんしんです。無くなった時とは、携わったデザインが無くなった時の事です。芸術、美術作品は長く残りますが、デザインはその時代によって変化していきます。常に変化していかなくてはいけない物だと思います。その場所にあった物が無くなる=又、新しい物が作れるです。と考えると楽しくなります。同じクライアントが指名してくれるとは限りませんが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

以上、私の思う「デザインとは」でした。