BrandZ 日本のブランドランキング上位50

ロンドンに本拠をおくWPPグループとそのグループ企業であるKantarが初めて発表した、2019年度の世界におけるブランド価値を測る年次調査「BrandZ トップ50最も価値のある日本ブランドランキング」によると、1位を獲得したのはブランド価値総額289億ドルのトヨタ、2位には通信プロバイダーのNTT(201億ドル)、3位にはホンダ(117億ドル)がランクインした。

brandz2019

BrandZは、インターブランド社が発行するブランドランキングと同様、世界最大のブランド資産価値ランキングの調査であり、財務データの分析と消費者調査結果を組み合わせ、ブランドが企業にもたらす価値を評価する。BrandZはブランド資産データベースとして、過去20年間にわたって世界51カ国380万人を超える消費者及び8万人を超える日本の消費者への調査・インタビューを行ってきた。日本の消費者ブランドランキングにおけるトップ50ブランドの価値総額は2,230億ドルを上回る。これはBrandZの調査対象国全体でみるとアメリカ、中国、ドイツ、フランス、英国に続き6位にあたる。

カテゴリー別で見ると、自動車カテゴリーはトヨタとホンダがランクインしており、トップ50ブランドの中で、最も価値のあるカテゴリーとなった。今回ランクインした自動車六ブランドが、ランキング総額の25%(547億ドル)を占める。

日本市場では小売ブランドが台頭

小売およびアパレルカテゴリーでは、ランキングトップ50にカテゴリー別最多の13ブランドがランクインしており、そのブランド価値の総額は全体の18%(397億ドル)を占める。メルカリ(47位、7億6,100万ドル)やファッション通販サイトのZOZOTOWN(16位、45億ドル)のように、不況時代に育った多くの若年消費者にみられる慎重な消費スタイルに代表される、倹約・節約といった消費者トレンドへの転換に適応してきたブランドがライクインした。

一方、実店舗を持つ従来型の小売ブランドでは、新たな戦略や新たな小売形態の開発が進められている。ミニマリストスタイルのホテルを商標登録した無印良品(32位、18億ドル)、温度調整と着心地のよさを実現するベーシックな衣料品ラインアップを持ち合わせながら、ポップカルチャーとのコラボレーションとウェアラブルテクノロジーを組み合わせるユニクロ(7位、98億ドル)、そして自転車シェアリングサービスや宅配ロッカー、自社ブランド自販機の設置を進めるセブンイレブン(8位、89億ドル)がランクインした。

ブランド価値のギャップを埋めることが国際的成長へのカギ

日本の国のイメージは「高品質」と結び付けられることが多く、世界の多くの市場において日本ブランドの強みとなっている。しかしながら、GDP世界第3位であり、健全なブランドを数多く抱える日本であっても、2019年度の「BrandZトップ100最も価値のあるグローバルブランドランキング」にランクインしたのは、トヨタ(41位)とNTT(70位)のみである。日本では多くの国内企業が依然としてブランディングに「ものづくり」アプローチを採用しているが、日本ブランドの「海外での活躍度(海外からの売上高、販売数量、収益性を組み合わせた評価基準)」は、BrandZの調査対象国の平均値を下回っている。

BrandZのCEOデイヴィッド・ロスは、「日本ブランドが、『ブランドエクイティのギャップ』を埋め、グローバルでの競争力を改善するには、今こそ好機にあると言えるでしょう。日本ブランドには海外での地位を高めていく余地が十分にあります。必要なことは、誰もが欲しがるような高い品質を消費者に提供し続けるとともに、自社ブランドの成功を下支えしている要素を探し当て、そうした要素を良質なコミュニケーションやマーケティングで強化・拡大したり、他にはない取り組みを進めたり、またその構築に努力することで、一層ブランド価値を高める可能性があるのです」とコメントしている。