デザイン投資に対する傾向から読み解く、デザイナーに期待される役割とは
デザインの力でビジネスを前進させるデザインカンパニーのグッドパッチが運営するデザイナー特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」より、企業のデザイン投資やデザイナーの働き方のトレンドを可視化する年次調査「ReDesigner Design Data Book 2022」が公開された。今年で4回目となる本調査では、IT・通信業界を中心に約100社の企業の人事担当者およびデザインマネージャー、ReDesignerに登録しているデザイナー約2400名などへアンケート調査を行い、回答結果をまとめた。9割の企業がデザイン投資に効果を実感する一方、デザイナー採用は引き続き課題であり、デザイナー不足が慢性化する中で、6割以上の企業が副業やフリーランスデザイナーを活用していることがわかった。
調査結果サマリー
中途市場のトレンド
- 9割(90%)の企業がデザインの投資効果を実感(前回調査比+20pt)。実感するポイント1位「プロダクトの品質向上」、2位「顧客満足度の向上」、3位「ブランディングの向上」
- 半数以上(55%)の企業が、CDO(Chief Design Officer)、CCO(Chief Creative Officer)などのデザインエグゼクティブに1,200万以上の年収を支払うと回答(前回調査比+16pt)
- デザインの品質管理やデザイナーのピープルマネジメントを担うデザインマネージャーの在籍企業が6割強(66%)に増加(前回調査比+13%)
- デザイナー独自の評価システムを構築する企業が2割以上(23%)に増加、Design Ops機能のニーズ拡大や人事担当者にデザインへの理解がより求められるように(前回調査比+8pt)
副業・フリーランス市場のトレンド
- 副業・フリーランスのデザイナーを受け入れる企業は約6割(62%)、前回調査に引き続き半数以上が回答(前回調査比+5%)
- デザイナーの副業を認める企業が8割以上(84%)に増加、様々な雇用形態での働き方の受け入れが加速(前回調査比+8pt)
- フリーランスや副業デザイナーの採用時の時給は8割強(87%)が3,000円以上を想定(前回調査比-2pt)
- デザイナー独自の評価システムを構築する企業が2割以上(23%)に増加、Design Ops機能のニーズ拡大や人事担当者にデザインへの理解がより求められるように(前回調査比+8pt)
新卒市場のトレンド
- 回答企業の4社に1社(25%)が、デザイナーの新卒採用を実施(前回調査比+5%)
- デザイナー新卒採用において、約8割(84%)の企業がインターンシップを活用
- 学生が企業を選ぶポイント1位「働きやすさ」、2位「仕事のやりがい」、3位「カルチャーマッチ」
概要
2021年10月に実施した前回の調査では、9割以上の企業がデザイナー人材確保に課題を抱えており採用の課題が顕在化した状況となっていた。
今回の調査では、回答企業の9割がデザイン投資に効果を感じる結果となっているものの、デザイン投資実施の阻害理由として3割以上(34%)の企業が「人材の採用」を要因にあげており、引き続きデザイナー人材の確保は課題となっている。
デザイン人材の採用に関する回答結果をみると、デザイナー採用における母集団形成に苦労する企業が昨年同様6割近く(59%)を占めており、市場における慢性的なデザイナー不足に直面している。このような人材市場の状況の中でReDesignerでは、昨年より副業・フリーランスデザイナー活用に関する調査を実施している。昨年に引き続き、半数以上(62%)の企業において、副業・フリーランスのデザイナー受入れが実施されている。そして今回の調査では、企業がデザイナーの副業を認める回答が8割(84%)にまで加速する動きが見られた。厚生労働省による「副業・兼業推進に関するガイドライン」発行など、政府も全国的に副業・兼業の普及促進を図る中、デザイナー市場においても様々な雇用形態での人材活用が進んでいる傾向が明らかになった。
また、新卒採用を進める企業も昨年より増加し、うち8割(84%)の企業がインターンシップを活用した採用を実施している。