Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

フェルトかける色彩が紡ぐ詩学

アーティスト木津本麗の個展「そこにあること」が東京・品川のKOTARO NUKAGA Threeで2025年12月6日から2026年1月24日まで開催される。本展は、N projectによる企画展として実施され、木津本にとって東京のギャラリーでは初となる大規模な個展となる。

adf-web-magazine-kizumoto-being-there-1

木津本麗《ひらめき》2025

木津本の作品はフェルトという素材から生まれる視覚的な偶然性と触覚的な記憶を軸にしている。フェルトは、幼少期に母親が作ってくれたままごとのおもちゃに用いられていたものであり、作家にとって「何にでもなれる魔法の切れ端」のような存在だった。ランダムに切り出され、彩色され、床に放り投げられたフェルトの断片は、偶然に生まれる重なりや色の交わりとして画面へと転写される。

adf-web-magazine-kizumoto-being-there-2

会場風景

adf-web-magazine-kizumoto-being-there-5

会場風景

adf-web-magazine-kizumoto-being-there-3

会場風景

本展では、意味や解釈を超えて「ただそこにあること」を静かに受け取るよう促す作品群が並ぶ。鑑賞者は、色とかたちに対して無意識に何かを読み取ろうとするが、木津本の絵はその性急な理解をやわらかく拒む。フェルトという素材の持つ曖昧な色彩と、絵具とは異なる光の反射が、複雑で豊かな空間性を生み出している。「色を乗せることは、時間や空間を押し込む作業である」と木津本は語る。作品の制作においては、素材、色、そして自身との対話が軸となり、身体に沈んだ記憶を呼び起こすプロセスそのものが、画面に表出している。2024年に大阪で開催された個展に続く本展は、東京における木津本の表現の現在地を示す場であり、フェルトという柔らかな素材が紡ぎ出す色とかたちの詩学に触れる貴重な機会となる。

adf-web-magazine-kizumoto-being-there-4

木津本麗《Floating Memories》2025

木津本麗 プロフィール

1998年滋賀県生まれ。2021年に京都市立芸術大学美術学部油画専攻を卒業後、2023年に京都芸術大学大学院芸術研究科美術工芸領域油画専攻を修了。現在は関西を拠点に制作活動を行う。カラーフェルトに絵の具を重ねたものをランダムに切り出し、床に配置した断片から偶然性を拾い上げ、キャンバスに描く。フェルトの持つ光の吸収・反射性や曖昧な色味を用い、空間に独自の詩的な奥行きを与える。滋賀県立美術館、アーツ前橋に作品が収蔵されている。adf-web-magazine-kizumoto-being-there-6

木津本麗「そこにあること」開催概要

会期2025年12月6日(土)から2026年1月24日(土)まで
時間11:30〜18:00(火〜土)
会場KOTARO NUKAGA Three
URL https://tinyurl.com/58t9ayjy