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デザイン教育を基盤としたモダニズムを継承しながらも、戦後の新しい時代の表現を追求した西ドイツにおけるグラフィックデザインの世界

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」が東京都庭園美術館で2025年3月8日(土)から5月18日(日)まで開催される。1919年にバウハウスが創設され、モダンデザインの思想と新たな造形教育によって世界に多大な影響を与えるも、1933年に廃校。その後大戦を経て1945年にドイツは東西に分断され、1990年にふたたび統一されるまでドイツ民主共和国(東ドイツ)とドイツ連邦共和国(西ドイツ)の二つの国が誕生した。そのさなかの1953年に、西ドイツにはバウハウスの理念の継承を目指したウルム造形大学が開設された。1950年代末にはGNP(国民総生産)が世界2位となり、「経済の奇跡」と称されるほど西ドイツは経済的躍進を果たしたが、その背景には商業と密接な関係にあるグラフィックデザインの存在が挙げられる。1972年のミュンヘンオリンピックや現代美術展「ドクメンタ」など、国家的イベントのイメージ形成にもグラフィックデザインは大きな役割を担った。

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本展は、デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナーであるイェンス・ミュラーとカタリーナ・ズセックによって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」が所有する戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料の中から、幾何学的抽象、イラストレーション、写真、タイポグラフィの観点から選ばれたポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品を展示。バウハウスやウルム造形大学が提唱したデザイン教育を基盤としたモダニズムを継承しながらも、戦後の新しい時代の表現を追求した西ドイツにおけるグラフィックデザインの世界が展開される。

本展のみどころ

日本初公開のコレクション

本展で紹介されるのは、「A5コレクション デュッセルドルフ」から選ばれた珠玉の作品群。日本では初公開のコレクションとなる。デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナーであるイェンス・ミュラーとカタリーナ・ズセックによって収集された本コレクションは、主に戦後西ドイツのグラフィックデザインからなり、1,000点以上のポスターや、10,000点を超えるその他資料類によって構成されている。所蔵作品数は現在もなお増え続けており、戦後西ドイツのグラフィックデザインを総覧できる充実したコレクションとなっている。

本展では、この「A5コレクション デュッセルドルフ」から、約125点のポスターをはじめ、多数の資料類が展示される。

戦後西ドイツのグラフィックデザイン

第二次世界大戦前にバウハウスが提示したモダンデザインの思想と教育は、戦後、西ドイツの都市であったウルムに設立されたウルム造形大学に受け継がれた。当時の西洋諸国の大半において、スイス・スタイル(国際タイポグラフィ様式)やアメリカのデザインなどが流行しもてはやされるなか、西ドイツではモダニズムを受け継ぎつつも、デザインと科学・哲学・社会思想などとの接点を探る、デザイン理論と実践を発展させていった。こうして生み出された西ドイツのグラフィックには、戦禍による傷跡の残る同地においても、新たな時代を切り拓くべく、前進する歩みを止めずに発信し続けた、デザイナーたちのエネルギーと情熱がこめられている。

デザインの構成要素で辿る、西ドイツのグラフィック

本展では「幾何学的抽象」、「イラストレーション」、「写真」、「タイポグラフィ」の4つのカテゴリーに出品作品をわけ、戦後西ドイツのグラフィックデザインの魅力に迫る。中には、手書きのタイポグラフィをつかった作品など、カテゴリーを横断したものとしてみることのできる作品もあり、デザイナーたちによる斬新なアイディアや創意工夫、実験的試みを楽しめる。ハンス・ヒルマン、オトル・アイヒャー、ハインツ・エーデルマン、ドロテーア・フィシャー=ノスビッシュおよびフリッツ・フィシャーなど西ドイツで活動したデザイナーたちが生み出したクリエイションの魅力を堪能できる構成となっている。

「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」開催概要

会期2025年3月8日(土)~ 5月18日(日)
時間10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
3月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)は夜間開館のため20時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
休館日毎週月曜日 ※ただし5月5日(月)は開館、5月7日(水)は休館
会場東京都庭園美術館
料金一般1,400円/大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円/中学生・高校生700円/65歳以上700円
URLhttps://tinyurl.com/3m4zptas