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Flow StudioやMayaにAIを統合しアーティストの創造性とコントロールを両立

Autodeskが米国ラスベガスで2026年9月15日から17日まで開催した「Autodesk University 2026(AU 2026)」で、映像やゲームなどメディア&エンターテインメント分野の制作を支援する最新AI機能を発表した。Autodesk Flow StudioやFlow Capture、Maya、3ds Maxなど既存のプロフェッショナル向け制作環境にAIを組み込み、キャラクター制作、撮影現場でのレビュー、シーン構築、アニメーションなどの反復作業を効率化する。生成AIに制作そのものを委ねるのではなく、生成後もアーティストが各要素を編集・演出できる「コントロール」を重視したワークフローを提示している。adf-web-magazine-autodesk-flow

生成AIをプロフェッショナルの制作工程へ

映像やゲーム制作では、一つの画像や映像を生成するだけでなく、多数のショットや複数のチームにまたがって表現の一貫性を保つ必要がある。Autodeskが目指すのは、AIによってアーティストの判断を置き換えるのではなく、既存の制作ワークフローにAIを組み込み、反復作業を減らすこと。AU 2026では、制作初期から撮影、レビュー、シーン構築、アニメーションまでを横断するAI活用を紹介した。

Flow Studioで3Dキャラクター制作を効率化

「Autodesk Flow Studio」では、テキストプロンプトから数分で初期段階の3Dアセットを生成できる。Googleの「Nano Banana」などのAIモデルを利用した画像ベースのプロンプトから、短時間で複数のデザインバリエーションを制作することも可能となる。プロフェッショナル向け3Dキャラクターは、コンセプト、モデリング、テクスチャリング、リギング、レビューなど多くの工程を必要とする。AIが完成品を制作するのではなく、初期工程を短縮することで、アーティストがより早い段階からクリエイティブな判断へ移れる仕組みとなっている。

Flow Captureで撮影現場と制作チームを接続

クラウドベースの「Autodesk Flow Capture」は、離れた場所にいる制作チームと撮影現場をつなぎ、テイクの確認やフレームへの注釈、リモートディレクションなどを可能にする。テックプレビューとして紹介された「Smart Search and Actions」は、AIが映像を解析して問題を検出し、プレイリスト生成などの作業も実行する。撮影段階で潜在的な問題を発見することで、ポストプロダクションでの手戻りを減らすことを狙う。

AI生成から演出とディレクションへ

Flow Studioの「3D Editor + Canvas」が重視するのは、AIで生成した映像を完成された一枚の画像として扱わないこと。映像から取得したパフォーマンス、生成キャラクター、World Labsの「Marble」で制作した環境などを組み合わせながら、キャラクター、カメラ、環境、アニメーションを個別に編集できる。「3D Editor」ではパフォーマンスやカメラ、ステージング、タイミング、環境などを操作。「Canvas」はノードベースの2Dワークスペースとして、主要な画像・動画AIモデルを使ったビジュアル表現の検討を支援する。これにより、キャラクターの演技を維持したままカメラを変更したり、ショット全体を作り直さずに環境だけを差し替えたりと、生成後もアーティスト自身が演出を続けられる。

Mayaと3ds MaxにもAIを統合

Autodeskは、Mayaや3ds Maxといった既存の制作ツールにもAI機能を取り入れている。Mayaの「MotionMaker」は、シンプルなモーションパスとタイミングから、歩行、速度変化、方向転換、ジャンプなどの基本動作を自動処理する。特徴的なのは、生成結果が固定された映像ではなく、Maya上で編集できるアニメーションカーブとして出力されること。アーティストはAIによって基礎作業を短縮しながら、従来のMayaのツールを使ってキャラクターの動きや表現を細かく仕上げることができる。3ds Maxでは「Gaussian Splats」などのAI関連機能も追加されている。

AIの学習データにも透明性

MotionMakerはAutodesk自身がキャプチャしたモーションデータを使用して学習されており、学習データの出所を把握できる仕組みとなっている。さらに「Bring Your Own Data」では、制作チームが所有するリグやアニメーションライブラリを使用し、独自の生成モーションモデルをトレーニングできる。各スタジオが持つ表現や作品固有の動きをAIモデルへ反映しながら、最終的な生成結果はMaya上で人が調整するという、プロフェッショナル制作を前提としたAI活用を提示する。

作品をつくる主体はアーティスト

今回Autodeskが示したAI活用の中心にあるのは、生成そのものよりも、その後の編集可能性とアーティストによるコントロール。AIに反復作業や制作初期の処理を担わせながら、演技、構図、カメラ、タイミング、環境など最終的な表現の判断はクリエイターが行う。生成AIと既存のプロフェッショナルツールを接続することで、AI時代の映像・ゲーム制作における新たなワークフローを構築しようとしている。

Autodesk

1982年設立。米国サンフランシスコに本社を置き、建築、製造、メディア&エンターテインメントなどの分野に向けたデザイン・設計・制作ソフトウェアやクラウドプラットフォームを展開する。Maya、3ds Max、Autodesk Flowなどを通じて、映像、ゲーム、アニメーションを含むクリエイティブ制作を支援している。