Sexauer Gallery ”GRIDS AND FLOWERS"by Verena Issel
春もそろそろ始まる三月下旬、ベルリンはWeißensee(バイセン湖)近くにあるSexauer Gallery ”GRIDS AND FLOWERS"by Verena Isselに足を運んだ。
ギャラリーの中に入るや否や、先にいたカップルの二人が作品を鑑賞しながら子供のようにはしゃいでいる。それも無理はない。展示会場全体が大人のアミューズメントパークと化しているからだ。
遊び心に火がつきすぎた。危険な駆け引き。
昨日食べたりんごの梱包材は、今朝ゴミ箱に捨てた。
まさか、ギャラリーに来て再会するとは思わなかった。
スリーコインでありそうなバスマット。ハサミでジョキジョキ切る音まで聞こえてきそうな存在感。
芋虫のように画面から飛び出てるのは耳栓。
あれ、搬入の際の梱包材、取り忘れていませんか?
Isselの世界は半径3メートル以内にある物や偶然性を瞬発的なインスピレーションによって反応、編成する。よく日常で見かける”もの”を使った作品は親近感を与え、一瞬にして私たちの注意を引きつける。
Sexauer Galleryは旧工場の一角を使ったような場所で床面積は広く、天井も高い。
そんな壁にグリッドで引かれた線が、空間をより大きく見せる効果は彼女の底抜けの想像力と、またアンビションすらも感じる。グリッドは銭湯やお風呂場を彷彿させ、親近感が湧く上に壁にかかった作品群とよくマッチしていた。個々の作品は一つでは意味をなさない。上下左右に設置された作品によって持ちつ持たれつして何か意味を持つ。Isselは壁全体をキャンバスと考えて作品を配置、描き、編成する。
平面も創るIsselだが、Sculptor(彫刻家)と肩書きに記されている訳が、会場全体に拡がる針金でできた柵を見てわかるような気がする。Isselは常に平面と空間の関係性を考えている様だ。枠にとらわれないマテリアルチョイスもこれで理解ができる。
会場に広がった柵につれて少し触れておきたい。正直、子供の頃にした”お母さんごっこ”を思い出した。毛糸や紐で空間をくぎって”部屋”を作った。その時に空間のコンセプトが一気に変化したのを憶えている。ギャラリー内でも柵に沿って移動することになり、80年代にあったような大迷路の感覚を思い出す。
思いつきと手の動きとスピードについて。
小さめの作品を見ていると彼女の手仕事やスピードが見てとれた。とても、早い。手仕事やそのスピード感が見える作品は、私にとって動いた画に見える。もはや映画だ。この作品群は一気に描いてその上にコラージュをしたintuitive(直感的)なところが非常に興味深い。
とても頼もしい展覧会だった。作品一点一点に集中することなく、作品と自分とのインタラクティブな体験ができる展覧会だったと思う。Isselの作品はあちらから近寄ってきてくれる。遊びましょう?って。食べ物で言うと”うどん”(美味しくて、すぐ食べれて、消化も早い)のようだった。わがままを言ってしまえば、もう少し癖の強い作品であって良いのかもしれない。
かつては私達皆、子供だった。そんな私たちの内面の子供の部分にプラグインして、少しビリビリするように作品の力は真っ直ぐでいて、また、遊び心と絶妙な統合性を持ち合わせていた。私も少し充電され、動き出しそうな衝動を覚えた。
かつては私達皆、子供だった。そんな私たちの内面の子供の部分にプラグインして、少しビリビリするように作品の力は真っ直ぐでいて、また、遊び心と絶妙な統合性を持ち合わせていた。私も少し充電され、動き出しそうな衝動を覚えた。
Sexauer Gallery "Grids and flowers" INFO
Period: 25 February – 6 April 2023
Address: Streustr. 90, 13086 Berlin
Opening hours: Wednesday – Saturday: 1 – 6 pm