資生堂ギャラリーの門戸を広く開く公募制プログラムshiseido art egg
資生堂の開催する新進アーティストに資生堂ギャラリーの門戸を広く開く公募制のプログラムshiseido art eggが、今年で16回目となり、入選作家の岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬がそれぞれの個展を開催した。今回、3つの作品の中で資生堂ギャラリーの空間に果敢に挑み新しい価値の創造を最も感じさせた作品に贈る「shiseido art egg賞」に、佐藤 壮馬が選出された。
shiseido art egg賞 選考について
3つの展覧会を開催後、今日のクリエイティブシーンで活躍する3名の審査員、磯谷博史(美術家)、温又柔(小説家)、諏訪綾子(アーティスト / food creation主宰)による審査の結果、世界の見え方を疑い科学と人々の心の間に生ずる違和感を表現しようと模索する姿勢からは、既存のアートの枠組みを攪乱し、拡張していく大きなポテンシャルを感じさせると評価され、佐藤壮馬が第16回shiseido art egg賞に決定した。
佐藤壮馬展「おもかげのうつろひ」
2023年4月18日(火)から5月21日(日)まで開催された佐藤壮馬展「おもかげのうつろひ」は、時空間における身体と心の問題を主題に、表象の背景にある記憶や慣習について考察している。複製技術を用いてアーカイブされたものを制作に取り入れるなど、モノや空間が持つ時間の流れや、それらとの関係性を表現することを試みてきた。本展では、2020年大雨により倒れた岐阜県の神明神社の大杉を3Dスキャンで複製し構成する新作を中心に、科学技術と人間の記憶や心の在り方との関係を探る展示となった。
第16回shiseido art egg賞トロフィー
日本の木「ナラ」で制作された世界でひとつのトロフィーとなる本トロフィーは、カリモク家具とのコラボレーションで実現。家具製造の過程で出る端材を再利用し、少し変形したようなたまごのフォルムは、社会に柔軟に適応しながら、多くの事を吸収するしなやかさを表現している。
第16回shiseido art egg 覧会概要
岡ともみ展 「サカサゴト」
会期:2023年1月24日(火)から2月26日(日)まで
個人の大切な思い出や消えかかっている風習など、見過ごされがちな小さな物語を写し出す装置を作り、記憶を空間に立ち上げるインスタレーション作品を展示。
YU SORA展 「もずく、たまご」
会期:2023年3月7日(火)から4月9日(日)まで
白い布と黒い糸を使った刺繍の平面作品や、家具やカーテンなど実物大の立体作品を組み合わせたインスタレーションで些細な日常に向き合う作品を展開した。