両国の野心的な作家たちによる格闘の諸相を紹介する展覧会
京都dddギャラリーは、第240回企画展となる「MIRROR / MIRROR:カナダ・日本 現代版画ドキュメント」を前期は2024年1月17日(水)から2月12日(月・祝)まで、後期は2024年2月17日(土)から3月17日(日)までと前期・後期に分けて開催する。写真・映像のテクノロジーと伝統的技法の並流や融合による表現の拡大を通して、現代版画の多様性と成熟を共有してきた日本とカナダ。本展では、両国の16名の作家たちによる作品の数々を展示する。
版画王国とも称される日本は、江戸時代に興った浮世絵の伝統と、明治時代に起点をもつ創作版画の伝統が並流し、独自の成熟を世界に示し続けてきた。1970年代、版画制作の現場に写真テクノロジーが流入し、さらに80年代以降はデジタルテクノロジーがそこに加わることで現代版画はますます魅力的な表現領域として、その進化形を示すにいたっている。
一方カナダでは、とりわけアルバータ州に点在する大学の版画専攻を拠点として活動する作家たちがもたらした写真や映像の積極的な活用と手技による伝統的版画技法との融合を一つの特徴とする動きが大きな注目を集め、70年代以降世界の現代版画の状況に確かな存在感を示し続けてきた。日本とカナダは、太平洋を隔てた二つの地域でありながら「多様性」ともいうべき現代版画の成熟状況を共有しつつ、作家たちを中心に積極的に友好関係を深め、これまで大小さまざまな形で交流展が開催されてきた。
「MIRROR / MIRROR : カナダ・日本 現代版画ドキュメント」は、現代版画の多様性と成熟を共有し、創作の前提としつつも、安住を好まず変革を継続する両国の野心的な作家たちによる格闘の諸相を紹介する展覧会。技法や形式によって領域を確定することが無意味とも思える現代の美術状況の中で、あえて版画にこだわることによって生み出される表現の質とは何か?切実であり、また普遍性をもったこの問いに対して、出品者16様の解答が試みられることになるかもしれない。本展では、各作家の試みを二つの鏡に映し出し、照らし合わせ、相互に覗き込むことが可能な状況を設定し、広く観衆に開放することを目指す。日加修好95周年を迎える本年、両国の版画表現の現況や歴史を知ることを通して、二つの文化の相互理解をさらに深める場となればとの想いが込められる。
出品作家
前期
デレク・ベサント / アレクサンドラ・ヘイセカー / ウォルター・ジュール / ウィリアム・ラング / 金 光男 / 清野 耕一 / 高橋 耕平 / 吉岡 俊直
後期
ショーン・コーフィールド / ルネ・デロウィン / リズ・イングラム / トレイシー・テンプルトン / 加納 俊輔 / 木村 秀樹 / 大﨑 のぶゆき / 大島 成己
京都dddギャラリー
京都dddギャラリーの前⾝は、⼤⽇本印刷の関⻄での⽂化活動の場として、1991年⼤阪・堂島に開設されたグラフィックデザイン・グラフィックアート専⾨ギャラリー。2014年の京都移転を機に、現在の名称に変更。2008年からはDNP⽂化振興財団が運営している。「未来のデザイン」はどうなっていくのか、どうあるべきなのか。京都dddギャラリーは、現代のデザインの可能性を探求するギャラリー。新しい時代の流れを読み取り、さまざまな交流や対話を通して、グラフィックデザインとアートの境界を模索し、新たな創造性を生み出すことを目指す。また、デザインを愛する人々が、ここで出会い、対話し、新たな発見を体験できる場を提供したいと考えている。
「MIRROR / MIRROR : カナダ・日本 現代版画ドキュメント」開催概要
前期 | 2024年1月17日(水)から2月12日(月・祝)まで |
後期 | 2024年2月17日(土)から3月17日(日)まで |
時間 | 11:00 ~ 19:00 |
会場 | 京都dddギャラリー |
入場 | 無料 |
URL | http://tinyurl.com/bdcvep6b |