「共時的星叢」の実践とは
日本統治期の1930年代台湾で結成され、同地へのシュルレアリスム導入を試みたモダニズム詩のグループ「風車詩社」。映画『日曜日の散歩者』(2015年、日本公開2017年)では、彼らの営みを軸に地域やジャンルを横断する多様な作品を絡め観客それぞれの視点を掘り起こす試みが展開された。東京都現代美術館で2026年9月5日(土)から12月13日(日)まで開催される展覧会「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」は、同映画の監督黄亜歴(HUANG Ya-li ホアン・ヤーリー)をゲストキュレーターに迎え、同映画を起点に黄の思索や編集手法を展示空間へと展開する。
本展では近代台湾の美術作品約200点、文芸、音楽、演劇、舞踏などの資料約500点に日本の作品約100点を交え、近代の台湾と日本に存在するそれぞれの営みが星座のように関係が結ばれている様を見せ、鑑賞者のまなざしを問い返す。
また本展開催初日13:00より、台湾美術史およびキュラトリアル・スタディーズの第一線で活躍する研究者・専門家を招いたシンポジウムも予定されている。台湾近現代美術をめぐる研究や領域横断型のキュレーションの実践を紹介し、その背景にある議論を通じて、台湾美術を捉える新たな視点を日本から考える。本展チケット購入のうえ事前申し込み不要で参加できる。
シンポジウム登壇者
孫松榮/SING Song-Yong
国立台北藝術大学 芸術跨域研究所 教授兼所長。フランス・パリ第10大学・舞台藝術研究所にて映画学の博士号を取得。現在、国立台北藝術大学大学院・藝術跨域研究所の教授兼所長を務める。近年の主なキュレーションに、「Footprints of the Walker: Tsai Ming-Liang」、「1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期」、「A One and A Two: Edward Yang Retrospective」などがある。研究領域は、現代華語映画(華語電影)の美学、現代アートと映画、現代フランス映画の理論と美学に及ぶ。
郭昭蘭/Guo Jau-Lan
国立台北藝術大学 美術学系修士課程 美術史・視覚文化専攻 准教授。近現代美術、美術史、キュレーション実践を教える。芸術の移動と流通、美術史記述論、展覧会がいかに歴史を作るかをテーマに研究を行う。2021年に台北北師美術館(MoNTUE)で開催された「On the Passage of a Few Persons Through a Brief Moment in Time」では、アーティストの林明弘(Michael Lin)、リー・アンブロジーとのコラボレーションを通じて、美術史学の拡張領域として「超歴史的展示」の可能性を追究。2022年には、台湾美術史を再構築するシンポジウム「Horizontal Art History: Perspectives from Taiwan」を主宰した。
賴明珠/Lai Ming-Chu
台湾文化部古物審議会委員/台湾藝術史研究学会理事。1994年に英国エディンバラ大学東アジア研究所にて文学修士号を取得。文化部「古物審議会」委員、並びに「台湾藝術史研究学会」理事を務める。これまで、中原大学インテリアデザイン学系および国立台湾藝術大学美術学系で兼任副教授として教鞭をとった。
劉錡豫/Liu Chi-Yu
台湾美術史研究者、コラムニスト。国立台湾師範大学藝術史研究所修士。2020年より美術史に特化したメディア「書院街五丁目の美術史ノート」を主宰・運営する傍ら、「典藏ARTouch」のコラムニストを務め、台湾美術史の研究、執筆、普及活動を行う。陳澄波文化基金会にて研究助手(2018–2019)を務め、李梅樹記念館の企画研究員(2024–2025)として、展覧会「日和:李梅樹の文化見学と実践」の共同企画に携わる。季刊誌『薫風』の連載コラム「美術史の中の台湾」が評価され、文化部第47回金鼎賞「優良出版物・雑誌類コラム執筆賞」に入選。
黄亜歴/HUANG Ya-li
本展ゲストキュレーター/本木工作室代表。キュレーター、映画監督。映画とキュレーションを横断する実践を軸に、歴史的な作品、資料と現代の感覚との対話を創出し、アジア近現代史における「忘れ去られた」文化的接点の再発見と再構築に取り組む。2015年の監督作『日曜日式散歩者(Le Moulin)』は台湾のアカデミー賞といわれる金馬奨で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。また、東アジア前衛運動の研究をもとに、展覧会「共時的星叢 : 〈風車詩社〉與跨界域藝術時代」(2019年、国立台湾美術館)を企画し、関連書籍でも高い評価を受ける。
金島隆弘
本展共同キュレーター/金沢美術工芸大学准教授。芸術学専攻視覚文化・現代美術研究コースにおいて、東アジアの近現代美術や工芸を含む文化的エコシステムにおける協働、キュレーション等の実践、アートプラクティスの研究を行う。北京にて東京画廊+BTAPギャラリーマネージャーを務めた後、東アジア地域におけるアートプロジェクトや国際交流事業、調査研究に従事している。
「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」開催概要
| 会期 | 2026年9月5日(土)~12月13日(日) |
| 時間 | 10:00~18:00 |
| 会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F |
| 料金 | 一般2,000円/大学生・専門学校生・65歳以上1,400円/中高生800円/小学生以下無料 |
| URL | https://tinyurl.com/3yu2dvd3 |

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