立山連峰と富山湾を一望できる大パノラマと共にアートを楽しむ
アートワークに囲まれた温浴施設「スパ・バルナージュ」が富山県魚津市のシティホテル「ホテルグランミラージュ」の展望フロアに2024年4月26日(金)オープンする。スパ・バルナージュは立山連峰と富山湾を一望できる大パノラマと共にアートを楽しむことができる非日常的な温浴施設。浴室アートワークをレディー・ガガの履く《Heel-less Shoes》を手がけたアーティストの舘鼻則孝が担当、店内のサウナ・温浴施設はサウナの聖地と言われている「サウナしきじ」の笹野美紀恵が監修した。
スパ・バルナージュの浴室を彩る舘鼻則孝のアートワークは、1センチ角のセラミック製タイルを無数に配置することで完成されたモザイク壁画。舘鼻の代表的な絵画シリーズ《Descending Painting》を起点として、本作には施設から実際に眺望することができる立山連峰の景色が描かれている。立山連峰を仰ぎ見る山側の浴室と富山湾を一望できる海側の浴室では、異なる図が表現されており、それらは対照的な内容となっている。山側は、燦々とした太陽が描かれた鮮やかな色彩の図なことに対して、海側では寒色を基調とした荒々しい雷雲の図となっている。
舘鼻の曽祖父と祖父は戦後に富山から上京し、新宿歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を1980年ごろまで営んでいたというルーツを持つ。1985年に生まれた舘鼻が祖父の遺品整理で初めて歌舞伎湯の写真を発見、浴室全面に施された壮大なモザイク壁画を目にした。スパ・バルナージュにアートワークを設置する依頼を受けた際には縁を感じ、本プロジェクトにモザイク壁画を採用した経緯がある。
舘鼻則孝(たてはな のりたか)プロフィール
1985年東京都生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。「Future Beauty」(東京都現代美術館など国際巡回、2012)、「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、2014)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、個展「It’s always the others who die」(POLA Museum Annex、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園、2019)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館など4会場を巡回、2020-22)、個展「Distance」(山口県立萩美術館・浦上記念館、2023) 等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催など、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。また昨年に続き、東京都が主宰する「江戸東京きらりプロジェクト」の一環として企画され、東京の伝統産業に焦点を当てた展覧会「江戸東京リシンク展」(旧岩崎邸庭園、2024)の展覧会ディレクターを務めている。