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戦後沖縄のスーベニア漆器を起点に土地と記憶 海の向こうとこちらの関係性を見つめる

エイベックス・クリエイター・エージェンシーが企画・運営するアートプロジェクト「MEET YOUR ART/WALL_alternative」は、カトープレジャーグループが運営する「GLAMDAY STYLE HOTEL &RESORT OKINAWA YOMITAN」とコラボレーションしたアートスペース「WALL_ okinawa」で、漆作家 染谷聡の個展「Relational Horizon -片身替わりの地平-」を2026年9月11日から2027年1月中旬頃ま開催する。戦後沖縄で在沖米軍向けに生産された「スーベニア漆器」をひとつの起点に、漆、写真、映像など多様な表現を通して、土地と記憶、海の向こうとこちらなど、分かたれながらも結びつづけるものごとの関係性を見つめる展覧会となる。adf-web-magazine-satoshi-someya-1

沖縄の工芸から土地と文化のあいだを読み解く

染谷聡はこれまで、漆器をはじめ、自ら収集した骨董や小枝などの自然物、漂流物などを用いながら、ものと装飾の関係に着目した制作を続けてきた。装飾や装飾する行為を、記憶を重ね、文化的背景を読み解くための存在として捉え、漆を工芸素材にとどまらず、時間、文化、感覚を媒介するメディアとして用いている。本展では、染谷が数年前から沖縄を訪れ、工芸品を調査するなかで関心を深めてきた「スーベニア漆器」を手がかりに、沖縄という土地に残る工芸や文化の痕跡を探る。

片身替わりから考える分けることと共にあること

工芸の装飾には「片身替わり」と呼ばれる、対象を中央で分け、異なる色面や文様を配する様式がある。その特徴は、内と外、陰と陽、海と浜のような相対するものだけでなく、夏と冬のように本来同時には存在しないものも、ひとつの景色として器物の上に成立させる点にある。染谷はこの「片身替わり」を、異なるものが分かれながらも同時に存在する状態として捉える。本展では、海の向こうとこちら、土地と記憶といった関係を手がかりに、分かたれながらも結びつづけているものごとの「あいだ」に目を向ける。

スーベニア漆器を塗り直す《Mis-tracing|Solidus》

展覧会の中心となる《Mis-tracing|Solidus》では、経年によって傷んだハイビスカス模様のスーベニア漆器を収集し、その片側を中心に塗り直しながら、「片身替わり」をモチーフとした装飾を施す。ハイビスカスは、かつて沖縄では亡くなった人が後世でも楽しく暮らせるよう供える花として扱われ、装飾文様として積極的に用いられるものではなかったとされる。一方、戦後には在沖米軍や観光ブームを背景に、南国を想起させる「沖縄らしい花」として広まり、スーベニア漆器を代表するモチーフのひとつになった。染谷は、時代や文化によって意味や価値を変えてきたハイビスカス模様の漆器に再び手を加えることで、異なる意味や時間をひとつの器の中に共存させる。

写すこと 辿ること 動きつづける装飾

会場ではそのほか、沖縄県立博物館・美術館所蔵の《朱漆山水楼閣人物堆錦椀》を染谷自身の解釈によって「写した」《Beyond of scenes|風景の宛先》を展示する。映像作品《Decoration in Movement|動いている装飾》では、器に描かれた装飾が、記憶や土地、人々との関係のなかで絶えず変化していく様子をテーマとする。《Solidus trace》は、海と砂浜の境界となる汀を歩き、その線を写し取り、辿ることから制作された作品だ。染谷は本展の制作にあたり、汀を身体で辿ることで、「片身替わり」という装飾のあり方を自身の経験として捉え直している。

ホテル全体へ広がる展覧会

WALL_okinawaのギャラリー空間だけでなく、染谷自身が収集してきたスーベニア漆器もホテル館内に点在する。現代の作品と、その背景に存在する実際の工芸品を行き来しながら鑑賞することで、ホテル空間そのものがゆるやかに展覧会の一部へと変化する。沖縄の工芸、装飾、風景を通して、分けることと共にあること、海の向こうとこちら、土地と記憶という複数の関係を見つめ、異なるものが共に存在する「あいだ」に広がる地平を提示する。

オープニングレセプション

展覧会初日の2026年9月11日15:00から17:00まで、WALL_okinawaでオープニングレセプションを開催する。入場は無料で、染谷聡も在廊を予定している。

染谷聡 プロフィール

染谷聡は東京都生まれの漆作家。2014年に京都市立芸術大学博士課程を修了し、博士号(美術)を取得した。装飾や装飾する行為を、記憶を重ねながら文化的背景を読み解く存在として捉え、漆の装飾性に着目した制作と調査を行っている。漆を工芸素材だけではなく、時間、文化、感覚を媒介するメディアとして用いながら、人と自然、歴史とのつながりを読み解く表現を試みている。近年の主な展示に「URUSHI NOW」(Victoria and Albert Museum、ロンドン、2026年)、「trace tracing」(ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM、京都、2026年)、「漆表現の現在」(金沢21世紀美術館市民ギャラリーA、石川、2024年)、「オマージュ・琉球漆器」(浦添市美術館、沖縄、2023年)などがある。adf-web-magazine-satoshi-someya-2

染谷聡 個展「Relational Horizon -片身替わりの地平-」開催概要

会期2026年9月11日から2027年1中旬頃まで
時間18:00〜22:00
会場WALL_okinawa
URLhttps://tinyurl.com/mwcjpe3u