Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

展示の一部として会場での公開制作の過程も

植田工による個展「Sandlot:Organic Alternation / だす」が、銀座蔦屋書店内・FOAM CONTEMPORARYで2026年10月10日(土)から11月4日(水)まで開催される。本会場では3年ぶりとなる植田が、新作と旧作を織り交ぜ、植田の思考と表現の変遷をたどるアーカイブのような展示となる。会期中には会場に作業台を設置、植田による公開制作も予定されている。

adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-1

《A Bird》910×727mm (F30) 、acrylic on canvas、2026年

展示作品例と植田自身による作品解説

  • 即興性
adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-7

《自画像(卒業制作)》oil on canvas、2005年

即興性といっても、そもそも絵は描いている瞬間の連続の結果なので、絵は即興の産物であるといえる。絵の制作のプロセスはその時々で違うが、描いている最中に襲ってくる様々な声を払いのけながら、描き現れる絵の状態の瞬間瞬間の判断で描きぬける(駆け抜ける)結果を受け止める。卒業制作に添える自画像は藝大の伝統となっていて唯一大学に残してもらえる絵だけれども、卒業制作の提出日の朝に描き始め4年間のことを数分以内で決着をつける、そういう覚悟を持つことが大事だと、その場所と時間で学んだ。

  • 母子像
adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-3

《A Mother And A Child》72.7×60.6cm(F20)、acrylic on canvas、2026年

10年前、もし神様が人生の最後に1枚だけ絵を描く時間を与えてくれたなら自分は何の絵を描くだろうと思わされることがあった。その時、無心で描いたら、母子の絵を描いていた。そのときに自分が人生で向かい合うモチーフはこれなんだと思わされて以来、母子の絵が自分のモチーフの中心になったが、描き続けていると人間は様々な面が複雑に絡み合い、1枚で収まるものでもないことに気付かされる。描き続けるうちに、マグダラ、パンドラ、セイレーン、人魚などのモチーフが現れてきた。1枚に収まらないならばその上に重ねてしまえ、ということにも繋がっている。

  • ベニヤ作品
adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-5

《Untitled(王女と王子と犬と車輪)》182×182cm、acrylic,oil pastel, chalk on plywood、2012年

ベニヤは紙のつぎに描きやすい支持体で、木炭やチョークやオイルパステルのような描画材との相性もよく、doodle的な描きかたになりやすい。一発描きで潔く仕上げるのには丁度よく、しかし保存状態の保証もない。アートというのは一回性の出来事が大事なので、作品が経年劣化を起こすこと、その変化も大事な要素と捉えている。変化の中に永遠性があり、変わることの中に変わらないものが見えてこないだろうか。枯れること、劣化すること、老化することにみずみずしさを見る。日本の前衛の基本のキではないだろうか。

  • 描き重ね
adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-4

《Untitled》72.7×60.6cm(F20)、oil, acrylic on canvas、2020年

adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-8

《MILK In A Pitcher On The Woman》72.7×60.6cm(F20)、oil, acrylic on canvas、2023年

一旦は完成した絵に別の絵を描き重ね、図像を積層させることでキャンバスの中の時間とストーリーを耕す。時間を経て表面が経年劣化し、剥落や退色したとき下に隠れていた過去が未来に反転する、過ぎ去る時間の性質に委ねている。発想のきっかけは大学時代の古美術研究旅行で高松塚古墳を訪れたときのこと。埋葬されていた壁画が後世に発掘され、空気に触れて酸化して色が剥落してしまったというようなことを聞いて、この世界に隠された大事なものを人が見ようとしたらその姿が消えてしまうというのは美しいことだなと思った。時代や時間の淘汰に耐え存在し続けられる生命力のあるものにしたいという気持ちはある。

  • ドローイング
adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-6

《景色》29.7×21cm(A4)、pencil, color pencil on paper、2007年

無心で描ける状態がベストだけれども、無心になれているかどうかはかなり怪しいが、紙に鉛筆の落書きが一番楽しい。鉛筆ネイティブなので絵筆よりも戸惑いが少なく筆致が出やすい。身体が楽に扱える感じは良し悪しだと思っているが、紙に鉛筆くらい自由にキャンバスに絵筆で描くようにと心がけている。

植田工

adf-web-magazine-ueda-tsutaya-ginza-2

1978年 東京生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業。東京藝術大学大学院美術学部美術解剖学 修了。(株)オリエンタルランドを退職後、科学者・茂木健一郎氏に師事しアーティストとしての活動を始める。絵画、イラスト、デザイン、映像、コラムなど様々な表現を展開している。

植田工個展「Sandlot:Organic Alternation / だす」開催概要

会期2026年10月10日(土)~11月4日(水)
時間11:00~20:00 ※最終日のみ18:00閉場
会場FOAM CONTEMPORARY
URLhttps://tinyurl.com/4j4tvekj