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NUNO 須藤玲子×we+による400年の節目を祝う青い扇のファンファーレ

山形県鶴岡市が、旧庄内藩主としてこの地の発展を導いた酒井家の庄内入部400年を記念して展開する「酒井家庄内入部400年記念事業」の一環として、このたび、日本を代表するテキスタイルデザイナーのNUNO須藤玲子と、コンテンポラリーデザインスタジオwe+によるテキスタイルインスタレーション《ファンファーレ 扇の舞》が公開される。鶴岡アートフォーラムにて、2022年10月21日(金)から11月6日(日)まで展示される本作は、鶴岡のシルク産業とゆかりの深いNUNOによるインスタレーション作品で、400年の節目に相応しい扇が奏でる華やかなファンファーレとなる。

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平安時代に発明された扇は本来の「あおぐ」という機能に留まらず、狂言では杯に、落語では蕎麦を啜る箸へと姿を変えるなど日本文化の多義性を象徴する存在である。何より祝の席に欠かせない「すえひろがり」な扇が空間を埋め尽くす本展は、400年の節目に相応しいもである。作品の基調となる「青」はこれまでもNUNOが好んで用いてきた色のひとつであるが、今回は特にNUNOのメンバーが致道博物館を訪れた際にその美しさに心を奪われた、酒井忠勝公の肖像画に描かれた着衣の、藍色のグラデーションから着想を得ている。

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藩祖酒井忠勝[致道博物館所蔵]

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we+による展示イメージ(建物外観)

注目のデザインスタジオ we+によるダイナミックな展示デザイン

NUNOの代表作のひとつである《扇の舞》は、2017年にワシントンDCのJ. F. ケネディ・センター(The John F. Kennedy Center for the Performing Arts)で最初に発表されて以来、国内外で公開されてきたが、今回はじめてその展示デザインに、林登志也と鶴岡市出身の安藤北斗によるコンテンポラリーデザインスタジオ we+をむかえる。その独自のデザインアプローチで世界的にも注目を集めるwe+は、今回の展示にあたり扇本来の「あおぐ」という行為が生みだす風や空気の動きに注目したという。庄内平野を背景に建物の内と外をつなぐ今回のインスタレーションは、この場所でしか味わうことのできないサイトスペシフィックな鑑賞体験を生み出す。また今回メインで展示する扇サイズは直径2メートルにわたる、国内過去最大のスケールとなる。

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we+による展示イメージ(ギャラリー内部)

酒井家ゆかりのモチーフや庄内の食文化をテーマに新作を発表

扇に使用されている表情豊かな布の数々は、いずれも須藤玲子がディレクターを務めるテキスタイルデザインスタジオNUNOが、全国各地の工場や職人との協働作業によってつくり上げたものである。今回の展示のメインとなるギャラリー空間を埋め尽くすのは、すべて鶴岡で制作されたテキスタイル。なかでも本展が初公開となる新作7点を含む計11点では、酒井家の重宝「忍轡」や、2014年にユネスコの食文化創造都市にも選ばれた鶴岡の豊かな食をテーマにした「だだ茶豆」など、庄内ゆかりのモチーフがデザインされている。また本展会場ではこれらのテキスタイルを用いたスカーフなど、400年を記念した限定アイテムも発売される。

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須藤玲子によるデザイン画。「忍轡」のモチーフが刺繍で表現される。

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新作テキスタイル 《だだ茶豆》 2022 のテストプリント。

NUNOのクリエイションを支える鶴岡シルク産業

須藤が鶴岡での布づくりをスタートしたのは2007年。明治以降の殖産興業の流れのなかでシルク産業が発展した鶴岡は、現在でも養蚕から製糸・製織・精練・染色・縫製までの工程を域内に有する世界でも類をみないシルクの産地であり、その高い技術力とそこに携わる人々の情熱が、NUNOの布づくりの重要な部分を支えている。なかでも鶴岡シルクとの協働によって開発された「kibiso(きびそ)」は、繊維産業の大量廃棄が問題となるなか、絹の製糸工場のすべてを使い切る革新的でサステナブルな取組みとして、各地の美術館でその製品がコレクションされるなど、世界的に高い評価を得ている。

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Kibisoの糸とそのプロダクト Photo:Masayuki Hayashi

須藤 玲子 プロフィール

須藤 玲子は、茨城県石岡市生まれのデザイナー。株式会社 代表。東京造形大学名誉教授。2008年より良品計画、山形県鶴岡織物工業協働組合、アズ他のテキスタイルデザインアドバイスを手がける。2016年より良品計画アドバイザリーボード。adf-web-magazine-nuno-w+-sakai400th-6

we+(ウィープラス)プロフィール

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リサーチと実験に⽴脚した独⾃の制作・表現⼿法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ「we+」。林登志也と鶴岡市出身の安藤北⽃により2013年に設⽴。

「ファンファーレ 扇の舞 ― NUNOとwe+によるテキスタイルインスタレーション」開催概要

会期2022年10月21日(金)~ 11月6日(日)*月曜日休館
開館時間9:30〜17:30
会場鶴岡アートフォーラム 1階
入場無料
ウェブサイト酒井家庄内入部400年記念事業公式サイト