イメージの可能性の領野をあらためてひらく試み
村上華子による個展「実験室:もう一つの眺めのために」が、奈良のMOMENT Contemporary Art Centerで2026年8月22日(土)から10月25日(日)まで開催される。村上は、写真の起源や、失われた、あるいは見ることのできないイメージへの関心を起点に、古典写真技法、人工知能(AI)、視線追跡技術、映像、インスタレーションなど、異なる時代の技術やメディアを横断しながら制作を続けてきた。本展ではフランスの発明家ニセフォール・ニエプスによる現存しない初期のに着目。書簡や記録を手がかりに、かつて存在したかもしれない像を再び立ち上げることを試みる。
ニエプスは現存する世界最古の写真として知られる《ル・グラの眺め》を制作する以前にも、複数の像を生み出していたとされているが、その多くは失われ、現在ではニエプス自身が手紙や実験記録に書き残したわずかな記述だけが残されるのみ。村上はそうした書簡や記録を手がかりにAIを用いて失われたイメージを生成、様々な技法によりそれらを物質的な像として再制作する。
アーティスト・ステートメント
それは単なる歴史の再現ではない。写真によって私たちは世界を認識し、過去を理解し、現在を記録し、未来を想像している。その根底にある「像が生まれる瞬間」に立ち返ることは、新たな画像生成技術によってイメージの意味そのものが揺らいでいる現在、私たち自身がどのように世界を見ているのかを捉え直すひとつの契機となるだろう。
「実験室:もう一つの眺めのために」は、失われた写真を探す試みであると同時に、イメージの可能性の領野をあらためてひらく試みでもある。
村上華子
村上華子
1984年東京生まれ。パリを拠点に活動。東京大学文学部美学芸術学専修、東京藝術大学大学院映像研究科修了。写真の起源や消失したイメージへの関心を起点に、古典写真技法から人工知能(AI)、視線追跡技術(Eye Tracking)までを横断するインスタレーションや映像作品を制作している。近年は、世界最初の写真を撮影したニセフォール・ニエプスの研究を軸に、「見ること」がどのように像を生み出すのかを探究している。初期写真術の再現実験や歴史資料の調査に加え、AIを用いた失われたイメージの再構成、視線データの可視化などを通して、写真以前/以後のイメージのあり方を問い直している。2019年アルル国際写真祭 New Discovery Award ノミネート。近年の主な展覧会に、National Museum of Women in the Arts 日本展(東京、2026)、Guangzhou Image Triennial(広州、2025)、10th Daegu Photo Biennale(大邱、2024)など。2026年にはVilla Albertineフェローとしてニューヨークに滞在し、アメリカ各地の写真コレクションやアーカイヴを調査した。作品はCNAP(フランス国立造形芸術センター)、Getty Museum(米国)などに収蔵されている。
村上華子個展「実験室:もう一つの眺めのために」開催概要
| 会期 | 2026年8月22日(土)~10月25日(日) |
| 時間 | 11:00~19:00 |
| 会場 | MOMENT Contemporary Art Center |
| URL | https://tinyurl.com/4zz2c3f8 |

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