銀塩写真の未来を問いかける大規模展 未公開のディオール作品も展示
写真家建築家の杉本博司による大規模個展「杉本博司 絶滅写真」が、2026年6月16日から9月13日まで東京国立近代美術館で開催される。クリスチャンディオールが特別協賛し、銀塩写真という表現技法の価値と継承をテーマにした展覧会となる。世界的なラグジュアリーメゾンであるDiorは、創業者クリスチャン・ディオールがギャラリストやアートコレクターとして芸術界と深い関係を築いてきた歴史を受け継ぎ、現代アートへの支援活動を続けている。本展への協賛もその取り組みの一環として実現した。
銀塩写真をめぐる記憶と継承
本展では、杉本博司の代表的な写真シリーズを含む13シリーズを3章構成で紹介する。第1章「時間・光・記憶」では、《ジオラマ》《劇場》《海景》を中心に、写真を通して時間と記憶の本質に迫る初期からの代表作を展示す。続く第2章「観念の形」では、《スタイアライズド・スカルプチャー》シリーズを軸に、杉本の造形的な思考と写真表現の深化をたどる。会場ではこれまで未公開だった2点の作品も公開される。被写体となるのは、クリスチャン・ディオールが発表した1947年春夏コレクションを象徴する「バー」ジャケットと「ソワレ」ドレス。いずれもファッション史における「ニュールック」を代表する作品として知られている。杉本はこれらのオートクチュール作品を単なる衣服ではなく彫刻として捉え、光と影によってその造形美を浮かび上がらせている。
写真家とクチュリエを結ぶ造形への探究
杉本博司は写真家であると同時に建築家としても活動し、空間や構造への深い関心を作品制作の根底に持つ。その姿勢は、建築的な構築性を重視したクリスチャン・ディオールのデザイン哲学とも共鳴する。異なる時代と分野で活動した両者に共通するのは、ラインとフォルムが持つ普遍的な美しさへの探究である。近年ではDiorのクリエイティブディレクターであるジョナサン・アンダーソンの初となるオートクチュールコレクションの撮影も杉本が担当しており、その対話は現在も続いている。
「絶滅」というテーマから見つめる未来
最終章「絶滅写真」では、本展タイトルにもなっている近年のシリーズを紹介する。ここで扱われる「絶滅」とは、生物種だけでなく、技術や文化、さらには人類の営みそのものにまで及ぶ概念である。デジタル化が進む現代において、銀塩写真という表現技法の未来を問いかけると同時に、人類が失いつつある価値や記憶についても考察を促している。杉本博司が長年追求してきた時間、記憶、存在というテーマは、本展において銀塩写真の保存と継承という視点と重なり合う。写真というメディアの本質を見つめ直す機会となるかもしれない。
杉本博司個展「杉本博司 絶滅写真」
| 会期 | 2026年6月16日から9月13日まで |
| 会場 | 東京国立近代美術館 |
| URL | https://tinyurl.com/597rfvb7 |

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