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雛人形と道祖神から、社会の規範を可視化する

アーティスト・MOYANによる個展「Figure」が、Gallery & Restaurant舞台裏で2026年2月18日(水)から3月15日(日)まで開催される。MOYANは長年「人形を使った人間劇」をコンセプトとして、人形やドールハウスをモチーフに、誰かに与えられ、期待され、演じさせられる役割を描いてきた。

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人であり物でもある「人形」の二重性は、遊びという虚構性の中で社会の規範と結びつき、無自覚のままイメージを再生産させている。本展では、「人形(ひとがた)」のモチーフが雛人形と秋田の道祖神へと展開。雛人形は節句の祈りとともに受け継がれてきた象徴である一方、道祖神は、疫病などの災いを村境で食い止めるために各地に祀られ、作り替えを伴いながら継承されてきた民間信仰の像。祈りと制度、継承と更新、守りと規範が交差する地点で描かれた「人形」は、私たちの主体が何によって形づくられてきたのかをあらためて問いかける。

アーティストステートメント

本展では、雛人形と道祖神という、日本の民俗的・制度的想像力を担ってきた像をモチーフに絵画を制作した。いずれも本来、家族、性、境界、通過といった社会的秩序を自然なものとして可視化するための装置である。

メインビジュアルとして描かれたのは、女雛二体、男雛二体がそれぞれ並ぶ絵画である。一対であることを前提としてきた雛人形の形式はここで反復され、しかし同時にずらされる。その「ずれ」は、新たな理想像を提示するというよりも、私たちが何を当然の組み合わせとして学習してきたのかを、静かに露呈させる。

2015年、渋谷区でパートナーシップ条例が制定された年、私はバービー人形を用いて同性婚を主題とした絵画を発表した。それから10年が経つ現在も、日本において同性婚は法制化されていない。この時間の停滞は、怒りとしてよりも、規範が反復され続ける構造そのものへの違和感として、私の制作の底流にある。

一方で、昨年の夏に秋田で短期間のレジデンスに参加した中で出会った道祖神は、村と村、生と死、内と外といった境界に立ち、通過や逸脱を引き受ける存在として祀られてきた像である。道祖神は、秩序を守るための像であると同時に、その境界が本来不安定であることを示し続けてきた。制度や社会に働きかけてきた多くの実践と並行して、私は一貫して、絵画という形式の内側からこれらの像を描いてきた。絵画は、即時的な解決を与えることはできないが、規範がどのように像として定着し、反復され、疑われることのないものとして受け取られていくのかを、時間の中で可視化することができる。

雛人形と道祖神は、本展において直接的に結びつけられることはない。しかし、いずれの像もまた、性や関係性、境界が固定されたものではないことを、沈黙のうちに示している。私はその沈黙を引き受け、イコンのように立ち現れる像を描き続けることで、現在の社会が前提としている、疑われることなく反復されてきた在り方を、静かに問いに晒している。

MOYAN

MOYAN

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1991年 埼玉県生まれ
2018年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画技法・材料研究分野 修了
2025年- 東京藝術大学美術学部 油画非常勤講師

受賞歴

2015年「GEIDAI スカウティング@藝大ギャラリー」藝大アーツイン丸の内 (GAM)賞
2016年「シェル美術賞2016」入選、「第3回 CAF賞」山口裕美賞

MOYAN個展「Figure」開催概要

会期2026年2月18日(水)〜3月15日(日)
時間11:00〜20:00(火~日)
会場Gallery & Restaurant舞台裏
URLhttps://tinyurl.com/mvmucv5x