ディオール ラ コル ノワール アワード
パルファン・クリスチャン・ディオールはパリ国立高等美術学校(ボザール・ド・パリ)とコラボレーションし、2020年10月「INHABITING THE LANDSCAPE ‒ WHERE ART MEETS THE LIVING WORLD ランドスケープに宿る ‒ アートと自然の出会いの場」と題された新しい共同プロジェクトを立ち上げた。今年で3年目を迎える「ディオールラ コル ノワール アワード」受賞作には、8名の在学中アーティストの中からアレッサンドロ・ディ・ロレンツォの作品が選ばれた。
8名のアーティストの作品は2023年6月にパリ国立高等美術学校のチャペルに展示され、審査委員長バス・スメッツ(ランドスケープ建築家)をはじめ、アレキシア・ファーブル(パリ国立高等美術学校学長)、キアラ・パリジ(ポンピドゥー・センター・メス館長)、グロリア・フリードマン(多分野で活躍するアーティスト)、エステル・ゾン・メングアル(「INHABITING THE LANDSCAPE ‒ WHERE ART MEETS THE LIVING WORLD ランドスケープに宿る ‒アートと自然の出会いの場」のコーディネーター)、アレクシ・バリシェラ(パルファン・クリスチャン・ディオール インターナショナル コミュニケーション ディレクター)から構成される審査委員会によって評価された。
アレッサンドロ・ディ・ロレンツォは第2回「ディオール ラ コル ノワール アワード」の受賞者カロリーヌ・アイユレに続いて、ラ コル ノワールの敷地内に優勝作品を展示。全体が銅で覆われ、次第に消え失せていくつかの間の彫刻は、やがてパーツが取り外され溶かされた後、葡萄の木を病害から守るために敷地内の葡萄畑に散布される。
Templum - テンプラム
“Templum - テンプラム”プロジェクトは天と地を結びつける神話的なプリズムを通して改めて発見された、古代と現在の農業の知識を連想させます。この作品を制作するにあたり、私の故郷プーリアからピアス病菌で枯れたオリーブの木を回収しました。その枯れたオリーブの木を銅のオリーブの木に変身させ、その銅の木はラ コル ノワールの敷地内の青々とした芝生の中央に展示されます。この彫刻作品は消え失せていくのではなく、変身を遂げていきます。周囲の葡萄畑とつながるために、オリーブの木は姿を変え、葡萄の木をケアし、細菌や菌類といった病害から守ります。この彫刻作品は、クリスチャン・ディオールの庭に息づく生物同士の絆をさらに浮き彫りにすることができます。
アレッサンドロ・ディ・ロレンツォ
アレッサンドロ・ディ・ロレンツォ プロフィール
イタリア・プーリア州出身のアレッサンドロ・ディ・ロレンツォは1997年バーリに生まれる。パリ国立高等美術学校では彫刻インスタレーション、ドローイング、映像をミックスした作品を制作。そのアプローチはメタモルフォーゼ(変身)と密接に関わっており、共依存の新たな可能性を生み出す繊細な環境との出会いを繰り返し想起させる。研究の中心にはつねに地方の生活とその辺境的な現実といった問題が据えられ、社会において神話的ではなく日常生活のリチュアルが果たす役割を明らかにするために背景にある力学を探る。
パリ国立高等美術学校
学びと芸術的実験を行う場であり、また展覧会を開催し、歴史的なコレクションを保存するほか出版も行っている。フランスの文化省の管轄のもと、パリ国立高等美術学校ではハイレベルな芸術家を輩出し、現代アートシーンにおいて重要な地位を占めている。学生は名高いアーティストが指導するアトリエで学び、論理・実技両方のトレーニングを受ける。