東京では約35年ぶりの個展
アレクサンダー・カルダー個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が麻布台ヒルズ ギャラリーにおいて、ペース・ギャラリーとの共催で2024年5月30日(木)から9月6日(金)まで開催される。東京では約35年ぶりの個展となる。本展はアメリカのモダンアートを代表するカルダーの芸術作品における、日本の伝統や美意識との永続的な共鳴がテーマとなっており、ニューヨークのカルダー財団理事長であるアレクサンダー・S.C.ロウワーのキュレーションとペース・ギャラリーの協力のもと、カルダー財団が所蔵する1930年代から1970年代までの作品約100点で構成。代表作であるモビール、スタビル、スタンディング・モビールから油彩画、ドローイングなど、幅広い作品を展示する。
本展の会場デザインを担当し、長年のカルダー財団の協力者でもあるニューヨーク拠点の建築家、ステファニー後藤は、カルダーが同時代の偉大な建築家たちとコラボレーションしていた精神にならい、3:4:5の直角三角形の幾何学にもとづいた設計で、日本建築の要素や素材をエレガントかつモダンに展示空間に取り入れている。
本展は2024年7月に麻布台ヒルズ内にオープンするペース・ギャラリーと麻布台ヒルズ ギャラリーとのパートナーシップの一環として開催。ペース・ギャラリーは1984年以来カルダーエステートと密接に協力しており、香港やソウルを含む世界各地の同ギャラリーでカルダーの展覧会を多数開催している。また、今回の東京での展覧会にあわせ、ペース・パブリッシングより日英版のカタログが出版される。
アレクサンダー・カルダー(1898年〜1976年)
1898年ペンシルベニア州ローントン生まれ、1976年ニューヨーク市没。20世紀を代表する芸術家で、古典的な芸術家の一家に生まれた彼は、針金を曲げたりねじったりすることで立体的な人物を空間に「描く」という新しい彫刻の手法をあみだし、芸術活動をスタートさせた。吊るされた抽象的な構成要素が絶えず変化する調和の中でバランスを保ちながら動く「モビール」の発明で最もよく知られている。初期のモビールにはモーターで動く作品もあったが、次第に作品を機械駆動させることをやめ、気流や光、湿度、人間の相互作用に反応する作品を多く制作していった。モビールの重要な要素として「動き」を用いた彼は、キネティック・アートの先駆者の一人となった。また、芸術家仲間でもあるジャン・アルプが「スタビル」と名付けた静止した抽象的な作品も制作している。モビールのみならず絵画、ドローイング、版画、宝飾品など、数多くの作品を制作し、幅広い分野で活躍。1950年代以降になると海外からの制作依頼に関心を向けるようになり、ボルトで固定した鉄板を使った壮大なスケールの屋外彫刻の制作に注力した。今日、これらの記念碑的な作品は、世界中の公共スペースで見ることができる。
出展予定作品一例
Black Beast (1940)
この象徴的な大型のスタビル《Black Beast》は、1940年に制作され、ニューヨークのミッドタウンにあったピエール・マティスのギャラリーにて同年開催された個展で発表された。幅約14フィート、高さ約9フィートの本作は、世界中の都市広場に屋外モニュメントとして設置されている1960年代から70年代の作品群の先駆けとなるもの。
Un effet du japonais (1941)
カルダーがこのタイトルについて詳しく語った記録は残っていないが、本作には、日本的な感覚や感性がよく表れている。彼は、タイトルは作品に特定の意味を与えるのではなく、識別の手段として完成後に付けることがあった。
Seven Black, Red and Blue(1947)
この鮮やかで大型の油彩画は、1956年に東京・日本橋高島屋での展覧会で初公開された。また、同展覧会で展示されたカルダーのコネチカット州ロックスベリーにあるスタジオの内部を描いた平面作品《My Shop》(1955年)も本展で展示される。
Untitled(1956)
1956年に制作されたモビール《無題》(1956年)は、カルダー家のあったロワール渓谷に17世紀に建てられたフランソワ・プルミエのダイニングルームに長年飾られていた。カルダーは「私にとって作品の構造で最も重要なことは不均衡性である」と1943年に発言している。続けて、「黒と白が強い色であり、正三角形でも二等辺三角形でも直角でもない三角形のもう一方の角を示すために赤を置く。これをさらに変化させるために黄色を使い、その後に青も使う。一般的な構図の不均衡性を強調するために細部に近似的な対称性を用いる場合を除き、対称性を示唆するものは断じて好ましくない。」とも述べている。
The Pagoda(1963)
日本の美意識に深く共鳴した大型のスタビルの作品《The Pagoda》は1963年に制作された。作品名は作品の解釈を決めるものではないが、三角の形状を積み重ねた抽象的な構成は、日本の仏塔などを想起させる。
ペース・ギャラリー
現在最も影響力のある現代アーティスト及び20世紀、21世紀を代表する作家のエステートを擁し、業界を牽引する国際的なアートギャラリー。1960年の設立以来、本拠地ニューヨークの他、東京、香港、ソウルなどのアジアを含む世界7都市に拠点を構え、幅広く活動している。日本初の拠点となる麻布台ヒルズ内に位置するギャラリーでは、独創的で美術史上に残る展覧会を通して、世界で活躍するアーティストを紹介していく。
「カルダー:そよぐ、感じる、日本」開催概要
会期 | 2024年5月30日(木)~9月6日(金) |
時間 | 詳細未定 |
会場 | 麻布台ヒルズ ギャラリー |
料金 | 詳細未定 |
主催 / 共催 | 麻布台ヒルズ ギャラリー / ペース・ギャラリー |
チケット | 詳細未定 |
URL | https://tinyurl.com/mr373ssu |