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漆を共同制作者に位置付ける

沖田愛有美個展「祝福は傷口を伝っていく」がクマ財団ギャラリーで2024年9月26日(木)から9月30日(月)まで開催される。本展はクマ財団の活動支援生がクマ財団ギャラリーで自身の創作のプレゼンテーションを行うシリーズ企画「KUMA selection2024」の第11弾。

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沖田は漆の生育圏をもつ東アジアや東南アジアに発展した漆の絵画を独自の視点で再解釈して作品制作を行っている。ベトナムのソン・マイ(sơn mài)、中国の漆画(qī huà)として知られるこれらの芸術形式は、日本では絵画と工芸の境界に位置するがゆえに定着することはなかったが、沖田はこの二重性にこそ可能性を見出し、視覚と触覚、目と手の芸術の再会ともいうべき領域の結節点を探求してきた。近年は、植物としての漆のあり方に立ち返ることで、人間と自然環境との連続性へと関心を広げている。

本展では、樹皮を傷つけ採取される漆を血の一滴に例え、研ぎと描画を繰り返す中で自律的な変化を見せる漆の工程を「感情を持った人間と対峙しているかのようだ」と述べる沖田が、漆を共同制作者に位置付けることで制作した一連の作品が発表される。

参考作品

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《藪をいくもの(い)》2022

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《まだ暖かい牛糞を枕に眠る》2022

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《ほほえみのビオトープ》2024

沖田 愛有美

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1994年岡山県生まれ。石川県を拠点に活動し、漆をメディウムとした絵画制作を行う。18年金沢美術工芸大学油画専攻卒業、20年同大学工芸専攻修士課程修了、24年同大学博士後期課程美術研究領域(絵画)修了。16年と24年には清華大学美術学院(中国・北京)へ交換留学生として派遣。樹液である漆を介した制作は、「植物-技術-文化」の複数の位相を持ち自然と人間をつなぐ“漆”との共同制作に位置付けられる。人間と非人間の境界を超え、種々が複雑に絡み合う自然界の様子を描いている。近年の個展に「洞穴の暗がりに息づくもののために」(北千住BUoY、東京、2024)、「結露する森」(galleria PONTE、石川、2022)、「てのひらを掠めるもの」(金沢市安江金箔工芸館、石川、2022)、「漆画 呼吸を続ける」(勝山文化往来館ひしお、岡山、2019) 。主な受賞歴に、第38回瀧富士国際美術賞優秀賞(2017)、佐藤国際文化育英財団30期奨学生(2020)などがある。

沖田愛有美個展「祝福は傷口を伝っていく」開催概要

会期2024年9月26日(木)〜9月30日(月)
時間12:00~19:00 ※最終日は17:00まで
会場クマ財団ギャラリー
料金無料
URLhttps://tinyurl.com/29zsnf9k