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有機物がねばり、流れ、侵食するかたちを陶で表現

アーティスト 青野千穂の作品展「柔らかなカタチ」が、銀座蔦屋書店で2023年10月14日(土)から11月10日(金)まで開催中。青野千穂は、粘性のある流動体となった有機物が支持体を侵食していくかたちを、陶を素材として表現するアーティスト。作品の表面に網目や動植物の模様をマットに描くことで、陶はまるで布のような質感を獲得し、硬さ、重さから解放され、何でもない不思議な存在感を湛えている。

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『とある楽器』 2020年(L51×W48×H20cm)/ 陶、子供用アコーディオン/約8kg /壁掛け

粘性のある流動体に心を惹かれるようになったのは、幼少期に親戚総出で行われた餅つきの体験がきっかけという。それから、そのような形態を持つ生物、イソギンチャクやサンゴ、微生物などに興味がわき、有機的なかたちへの関心が高まっていった。粘土で造形する陶という素材と、かねてからの関心が出会い、彼女独自の表現方法が生まれた。

現在はオーストリア、リンツにて制作を行っている青野。作品に描かれる模様にその影響を垣間見ることができる。モチーフは、流動体より連想される水紋からヒントを得た網目模様から、ヨーロッパの古い部屋を訪ねたときに目にする壁紙のような文様、連続した植物や動物の文様へ。生活と芸術を一致させることを主張した1880年代の「アーツ・アンド・クラフツ」運動によって、ヨーロッパの人々の生活に根付いたデザインが、彼女にインスピレーションを与えている。

陶という素材から解き放たれた美しい有機物が粘り、流れ、侵食する。奔放にかたちを変える青野の作品は鑑賞者に動きを感じさせる。例えば、オーストリアでよく見かけるというアコーディオンの形状にインスパイアされて制作した《とある楽器》のように、有機物が既存の無機物に侵食するあり様を表した作品では、抗い難いものに対する抵抗や感情、湧き出す生物的エネルギー、変化と順応を想起させる。 

本展では、オーストリアに渡る前の2003年から23年までの作品、20点以上が展示される。作品は銀座蔦屋書店店頭、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて販売中。

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『人生を楽しめ I』 2022年(W25×D30×H20cm)/ 陶

アーティストステートメント

私が作品に有機的な形態を用いるのは、鑑賞者に感情移入をたやすく促すからです。動かない物体ですが、粘性の形状は動いているような錯覚を生み出します。

しかし、作品によって流動体の物理的な運動を正確に再現しようとしているわけではありません。形状は不格好に変形したり、意識を持った軟体動物であるかのように、重力だけでは発生しない方向性を持っています。 なぜなら、その形状が物理的に一致しない動きを持っている時、その中に物語性や感情などが生まれるからです。

表面のパターンも、はじめは流体のような形状と付随する水の波紋にインスパイアされた織りパターンから始まり、波紋のような円を描くことに発展していきました。 ヨーロッパに住み始めてから徐々にウィリアム・モリスの壁紙に植物や動物が連続して描かれるなど、生活と芸術の融合を提唱するデザインに影響を受け、同様のモチーフを描くようになりました。

釉薬の代わりにマットな色を使うと、布地のような不思議な質感になります。重いのか柔らかいのか硬いのかわからない質感と、生地にプリントされているようなモチーフを描くことで、作品がセラミックの物質感から解放される効果を生み出しています。作品の形状や連続した有機的なパターンと具体的なモチーフも、基本的には自然からインスピレーションを得たものです。 青野千穂

青野千穂 / Chiho Aono

1974年横浜生まれ。多摩美術大学にて油絵科の中にある陶芸クラスにて陶を学ぶ。1999年多摩美術大学大学院修了。2008年以降、オーストリア・リンツにて作陶。2010年平成22年度文化庁新進芸術家海外留学制度派遣作家。2012年リンツ美術大学大学院修了。2022年信楽陶芸の森招待作家。2023年、アッパー・オーストリア/グムンデン陶器招待作家。2024年にはウィーン工房(陶)のための作品(エディション)を制作予定。その他、アメリカ、韓国などで作品展を多数開催。

青野千穂作品展「柔らかなカタチ」開催概要

会期2023年10月14日(土)~11月10日(金)
時間10:30 - 21:00
会場銀座蔦屋書店インフォメーションカウンター前
料金無料
主催銀座蔦屋書店
URLhttps://onl.tw/L3YcYct

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