ADKホールディングスアートギャラリーで新たなアート作品の展示が開始
ADKホールディングスは、2014年の虎ノ門ヒルズへの本社オフィス移転を機に、2015年から本社13階のエントランス横にアートギャラリーを設け、気鋭の若手アーティストがADKのために制作したオリジナル作品を展示している。
ADKギャラリーでは、小山登美夫ギャラリーの協力を得て、ADKアートディレクターが選定したアーティストに「The Power of Action」をテーマに、オリジナル作品の制作を依頼。ADKのCSR活動の一環として開始し、ほぼ一年ごとに作品を入れ替え、既成概念に捉われない新しい才能を紹介し、その活動を応援している。
新しく展示されている作品は、アーティスト風能奈々(ふうのなな)による新作「鍵・窓とひろがるカーテン、私の舟にのせるものシリーズ」。本作品は、角度によって絵が変わって見えるということが大きな特徴で、ADKのエントランスの大きな窓から差し込む光が、円形の作品に当たり、描かれているモチーフや筆触が浮き上がったりしずんで見えたりを繰り返し、独特で重層的な世界観が生み出された。
風能奈々プロフィール
1983年静岡県生まれ。2006年大阪芸術大学芸術学部美術学科油画コースを卒業後、2008年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。現在静岡で制作を行っている。作品はアマン東京、ジャピゴッツィコレクション(スイス/アメリカ)、高橋コレクション、高松市美術館、モンブラン GBU ジャパンに収蔵されている。
作品について
風能奈々氏の作品は、自身幼い頃から愛しむ想像や物語の世界と、高い密度の多様なマチエールが絡み合って、独特で重層的な世界観を生み出している。まるで磁器や彫金を思わせるかのような光沢と、刺繍や織物のような繊細な筆致がアクリル絵具のみで生み出されていることに驚かされる。今回の新作は、モチーフを上塗りして2度3度と重ね、そこからハンダゴテのような熱ペンで分厚く層状に塗った絵の具の層を溶かしながら引っ掻き、新たな描線を生み出している。見えている一番上の画面以外に、隠され異なった層に描かれたもの同士が関係しあっている。
一番最初の層に描いたモチーフは、ずっと過去にもあったような、それでも決して古くさくはならないような、人々の営み、普遍的な風景。片面には風能氏の「鍵」のシリーズで、草原が(鍵のような作用によって)開かれていくシーンを描いたもの、もう片面には「私の舟にのせるものシリーズ」で、愛着のある大切なモチーフをひとつひとつていねいに選んで舟にのせていくイメージのシリーズとなっている。