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普段は捉えきれない揺らぎや気配に目を向ける

秋山泉、大西伸明、興梠優護、金佳辰によるグループ展「儚さについて|On Transience」が、銀座蔦屋書店 店内アートスペース・FORM CONTMPORARYで2026年9月19日(土)から10月7日(水)まで開催される。参加作家のひとりである興梠(こおろぎ)が掲げた「儚(はかな)さについて」というテーマに呼応し、秋山泉、大西伸明、金佳辰が参加するかたちで、絵画、ドローイング、立体など、それぞれの方法で捉えがたく移ろうものに向き合う構成となっている。儚さを単に「消えていくもの」として捉えるのではなく、異なる存在の間に一時的に立ち現れる感覚として見つめようとしている。

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儚さについて|興梠優護

アーティスト・ステートメント

本来なら現在も開催していた筈であった、宇城市立不知火美術館(熊本)での展覧会が、先の熊本地震により中止となりました。今回の震災によって失われた多くのもの、そして今なお大変な状況の中にいらっしゃる現地の方々を思い、平穏な日々が一日も早く戻ることを願ってやみません。

「儚さについて」という主題は、この「不知火」という地名の伝承に繋がっています。

「その昔、景行天皇が九州を訪れた際、夜の海で方角を失ったところ、遠くに見える謎の火を頼りに無事に岸へたどり着いたといいます。天皇が土地の人々に『あの火の主は誰か』と尋ねたところ、『誰も知らない』と答えたことから、その火は、不知火(しらぬひ)と呼ばれるようになった」と。

暗闇のなかに現れ、確かな輪郭を持たないまま人を導く存在は、この展覧会で考える「儚さ」とも響き合うものです。例えば、仏教の無常観には『全ては変わる』という世界の捉え方があります。この展覧会では、そうした、掴もうとするとすり抜けてしまうような、明確な言葉になる手前の感覚に目を向けます。遠い昔、暗い海のなかで人々を導いたという「誰も知らない火」のように、不確かで、揺らぎ、やがて消えていくもののなかに、豊かさや美しさを見出すことができるのではないかと思うのです。

興梠優護

参加アーテイストと作品例

秋山泉
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《静物 XXVI》2010-2026、H970×W1303mm、鉛筆、紙

1982年山梨県甲府市生まれ。2007年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2009年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。鉛筆を幾重にも重ねることで生まれる繊細な光の諧調と深い空間を通して、静物の形を超えた存在感や神秘性、静謐な世界を描き出す。輪郭線を排し、主題と背景を一体化させる独自の表現を探求している。主な個展に2025 「San Galerie」台北、「Art on paper Amsterdam」オランダ。2024 「Drawing Now Art Fair 」パリ。主なグループ展に2026 「MoCAF」BGC フィリピン、「凝縮する存在」小林画廊 東京、「Art Fair Philippines」マカティ フィリピンなど。

大西伸明
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《Tool box #4》樹脂に塗装、W370×D150×H205mm(撮影:大河原光)

1972年岡山県生まれ。1998年京都市立芸術大学大学院美術研究科版画修了。

自然物や事物などを樹脂で型取り・彩色し、複製や反転の構造などを用いてオブジェ・マルチプルを制作する。本物に見紛う質感と透明な部分をあえて同存させることで「間(あわい)」を表現し、薄さや鏡面など様々な様相を取り入れながら「存在」や「オリジナル」とは何かを問いかける。版画技術を修得するなかで培われたコンセプトは、立体作品と平行して制作される版画作品にも顕著に表れている。また、2011年より美術家・岡崎和郎との対話から生まれるプロジェクトを継続し、マルチプル作品「Born Twice」を共同制作した。

興梠優護
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《30.01%》2025、oil on canvas、H500×W727mm / ポートレート撮影:衞藤久朋

1982年熊本県生まれ。2009年東京藝術大学大学院美術研究科修了。身体のモチーフを軸に、光、色彩、視覚といった曖昧で移ろいゆくものに着目し、絵画性の拡がりを探る試みを行う。主な展覧会に2026年「しらぬひ」不知火美術館、熊本。2025年「移ろいゆくものへの憧憬」清力美術館、福岡。2023年「VOCA 2023 」上野の森美術館、東京。2022年「KYOTO STEAM 2022」京セラ美術館、京都。2018年「高橋コレクション 顔と抽象」清春白樺美術館、山梨など。主な受賞歴に2025年「Fukuoka ArtAward」。2014年「TERRADA ART AWARD」優秀賞。主なアーティストインレジデンスとして、スペイン、ブルガリアなど。

金佳辰(キン カシン)
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《古いうろこを脱ぎ、新しい鰓で呼吸する》H700×W950mm、アクリル、パステル、綿布

1993年中国生まれ。愛知を拠点に制作。2022年愛知県立芸術大学大学院修士課程油画・版画領域修了。身体感覚や他者との関係のなかで生じる揺らぎを手がかりに、ドローイングや絵画を中心とした制作を行う。主な個展に「An elephant in my heart」(上海)、「走る獣」(東京)、「君の影を塩漬け」(名古屋)など。GEISAI#22 & Classic MADSAKI審査員賞、Holbein Art賞、第37回ホルベイン・スカラシップ奨学生、R.E. Award 2025を受賞。インドネシア・ジョグジャカルタのASP、愛知県岩倉市のHazi、北海道白老町のBrew Galleryで滞在制作を行う。

秋山泉、大西伸明、興梠優護、金佳辰「儚さについて|On Transience」開催概要

会期2026年9月19日(土)~10月7日(水)
時間11:00~19:00 ※最終日のみ18時閉場
会場銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY
URLhttps://tinyurl.com/34c75j4w