静寂とリラクゼーションを育むサンクチュアリ(聖域)
チリ・コキンボ州オバレ市の中心部から約3キロのところに位置するオバレ・カジノ&ホテル(Ovalle Casino and Hotel)が完成した。
このあたり一帯の先住民が、中央台地を横切る裂け目である渓谷の中に避難場所を求めていたことからインスピレーションを得たという。この渓谷はいわばサンクチュアリ(聖域)であり、ホテルは外部の交通や騒音から遮断された屋内と屋外の一連の空間を生み出し、静寂とリラクゼーションを育むことになるだろう。
特徴的なチリの建造物である壮大な石造りのピルカが居住空間であり、その上に建築プログラムの様々な構成要素を包摂したボリュームが占める。斜めに交差する正方形の間取りを形成し、中央の収束する亀裂を生み出している。この一枚岩で不浸透性の構造体は、まるで内側から外側に向かって複雑に彫り込まれたかのようだ。
それぞれのボリュームは、そのユニークなフォルムで内部をさりげなく見せている。カジノとボール・ルームは、1フロアの大きなスペースで構成され、反対方向からアクセスでき、屋上にはこの地域特有のサボテン種を栽培する植物園がある。中央の亀裂の反対側ではホテルとスパがつながっているが、それぞれを調和させつつ互いの特徴をハーモナイズできるよう、明らかに異なる建築スタイルで設計されている。
ホテルは、グレカのモチーフ(ギリシャ風雷紋)を彷彿とさせるディアギータ文化の幾何学的フォルムにインスパイアされたメタリックな外装で際立っている。
小道の先にはむき出しの板コンクリートで作られた記念碑的な立方体の姿を見せるディアギータ美術館があり、天頂から差し込む自然光は素晴らしいアクセントだ。