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世界的建築家が地域の職人とコラボレーション

屋根や外壁などの建物の外装工事を中心に、近年は板金の折鶴や壁掛けオブジェの製作販売事業を展開するウチノ板金は2023年秋、板金を外壁に用いた「和國商店(わくにしょうてん)」を、隈研吾建築都市設計事務所のデザイン監修、岡庭建設の設計・施工により東村山市の青葉商店街に開業する。adf-web-magazine-wakuni-shoten-designed-by-kengo-kuma-1

和國商店

和國商店は屋根や外壁などの板金を手掛けるウチノ板金の工芸品ブランドで、板金の折鶴は海外のファンも多く、2022年からはフランス・ドイツの学校・大使館・公的機関で板金折鶴製作のワークショップも開催し、日本文化・折鶴の意味・板金技術を海外に伝える活動も行っている。

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海外でのワークショップ・板金折鶴を製作販売している

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フランス人作家のステファンとのコラボレーション

新店舗「和國商店」のテーマ

建設予定の和國商店は、新国立競技場など数多くの世界的建築を手掛けている隈研吾のデザインとウチノ板金の建築板金の技術を掛け合わせ、「循環」をテーマにしている。設計・施工は創業52年を迎えた、自然素材で高性能住宅の建築を得意とする岡庭建設が担当する。青葉商店街は約60年前に開発されたが、現在はシャッターを下ろした状態が目立つ商店街になっている。しかし、新型コロナウイルスの影響で様々な価値観が大きく変容し、各地で商店街という資源の価値も変わろうとしている。このプロジェクトは、幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金の代表の内野友和が、この商店街の文化を活用し、地域活性、職人不足・技術継承などの様々な問題を少しでも解決できないかと、隈研吾に話を持ち掛けたところから始まった。この和國商店がきっかけとなり、人と人が繋がり、連綿と受け継がれてきた、青葉商店街が新たな価値を生み出す場所になることを目標としている。adf-web-magazine-wakuni-shoten-designed-by-kengo-kuma-2

プロジェクトについて

僕は日本の板金の技術は世界一だと思っています。その世界一の日本の中でも、飛び抜けた技を持つウチノ板金の職人技術を世界にアピールしながら、青葉商店街再スタートの象徴となるような建物をデザインしようと思いました。商店街ならではの建築スケールを残しながら、ファサードから家具まで様々なスケールを板金で製作することで、かつて賑わっていた商店街の歴史と、新たな商店街の未来とを繋ぐ架け橋を作ります。普段屋根や外壁で目にしている板金にはこんな使い方があるんだ、と驚いてもらえるような空間になります。東村山の子どもからお年寄りまで、みんなが気軽に立ち寄れる街のカフェとして、人々に愛され続けるコミュニティの場となることを願っています。

隈研吾建築都市設計事務所 隈研吾

僕は工務店として職人集団としてのウチノ板金と共に様々な建築を共にし、磨き抜かれた板金技術を長年にわたり目にしてきました。その職人技術をより今後の成熟社会に活かしていくために、今回はあえて既存の建築物再生(リノベーション)に挑戦しています。築年数が経過した建物は見え隠れや、想定と異なることも多く設計も施工も技術を要します。象徴的な建築デザインと性能向上にも挑んでいくので、より高い板金、職人技術が不可欠です。だからこそ、建築家・板金職人・地域工務店、高い技術を結集し、想いの具現化にかけたエネルギーが商店街や地域に伝承されていくことでしょう。そして「建築」と「場」から商店街の活性化を願うと共に、今後もその活動と歴史を応援し続けて行きたいと思います。

岡庭建設 専務取締役 池田浩和

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(左)ウチノ板金 内野友和(中央)隈研吾(右)岡庭建設池田浩和

メッセージ

戦後、急激に住宅開発された東村山市青葉町の生活を支えた青葉商店街に和國商店は立地します。 青葉商店街は、客と店員はツーカーで、駄菓子屋や少年誌が発売前に買える文房具屋など子どもの遊び場、夏祭りなどもあり、暮らしと楽しみに満ちた場所でしたが、現在は青葉町のまち自体が更新時期を迎え、変化に果敢に挑み、新たな未来を切り拓く 必要があります。 ウチノ板金さんの技術継承・価値創造の取組み、例えば、隈研吾さんや海外アーティストとのコラボのように様々な人がつながりアートやコミュニティといった文化を地域に根差させる取組みは、まさにこれにあたるものです。 本事業が当市のまちづくり・人づくりにとって素晴らしいものになることを期待しています。

東村山市長 渡部尚