建築家・安藤忠雄設計の「瀬戸内リトリート青凪」が省エネ効果で年間CO2排出量を30%削減
安藤忠雄が建築・設計を手掛けたオールスイートのラグジュアリーホテル「瀬戸内リトリート青凪」は、ヒートポンプを導入した省エネ効果により、重油使用量を大幅に削減し、コロナ前と比較して年間CO2排出量を30%も削減した。
世界的建築家・安藤忠雄建築による、1998年に美術館兼ゲストハウスとして建てられたデザイナーズホテルは、天井高も高く、大きな窓から瀬戸内海を眺められるつくりが特徴。天候により情景が刻々と変化する反面、室内の温度も天候に左右され変化する。館内随所に設計者のこだわりがあり、設計者の思いを崩すことなく設備の更新をしようと長年試みていたが、設備更新はなかなか困難な状態だった。
冷暖房機器は、これまで重油ボイラーによるものをメインに使用していた。冷暖房の切替は外部専門業者へ依頼し切替作業を行なっていた。2021年秋より環境省の助成金を活用し、重油ボイラーを入替え、ヒートポンプ機器を新たに導入。その結果、冷暖房の切替作業の作業費用をカット。加えて、2022年度の実績値を基準期間(*)と比較したところ、宿泊人数は約5%増加したにもかかわらず、重油使用量は86%削減し、CO2排出量も30%削減を実現することができた。
*基準期間は、コロナ前からの2017年4月~2020年3月の平均値
また、日々の運用が便利になったことで、天候や外気温の変化に合わせて冷暖房の切替えができるようになり、滞在客の要望に寄り添った対応が可能となった。そして、なにより、リアルタイムで製造熱量をはじめとした様々な状況が見える化したことで、「より効率的なエネルギーの使い方ができないか」と従業員1人1人が意識するようになったことが大きい。
瀬戸内リトリート青凪 by 温故知新
一部が美術館として公開されていた名建築を、2015年12月にその設計者・安藤忠雄監修のもとリノベーションし誕生した、全7室オールスイートのスモール・ラグジュアリー・ホテル「瀬戸内リトリート青凪 by 温故知新」。ホテルのコンセプトは「Minimal Luxury」。安藤建築の洗練された空間の中、館内の随所にアート作品を展示。瀬戸内の旬素材をふんだんに活かした会席を提供するダイニングのほか、屋内外2つのプール、さらに四国初の本格ホテルスパも完備している。