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UCLA x LABや東北大学災害科学国際研究所[IRIDeS]など世界の11大学が災害に対応する建築・都市デザインを提案

UCLA xLABIRIDeS、並びにArcDR3展覧会製作実行委員会は「リジェネラティブ・アーバニズム展—災害から生まれる都市の物語」を日本橋室町三井タワー「室町三井ホール&カンファレンス」にて2022年4月9日(土)から4月24日(日))まで開催する。

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イラストレーション:わたなべろみ

ArcDR3(災害リスク軽減と回復力のための建築・都市デザイン)は、東日本大震災を機に開催された第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」が目指す災害に対応できる社会に向けて、UCLA xLABとIRIDeSが中心となり、環太平洋大学協会と連携し同地域の11大学が参加した国際共同プロジェクトである。来年2023年は関東大震災(1923年)から100年の節目を迎える。この震災から東京の都市構造が大きく変化していった。また国際的な防災アジェンダである「仙台防災枠組2015-2030」は2030年までに防災力を高めることを目標としている。こうした機会にArcDR3では都市・建築デザインの分野で災害に対してどのような姿勢で対応していけるのか、その可能性を議論してきた。本展覧会では国際共同プロジェクトであるArcDR3の活動成果を展示する。

展覧会について

東日本大震災の発生から11年が経ち、巨大地震と大津波、そして原発事故で破壊された東北沿岸部では、今もなお復興に向けた街づくりが続けられている。日本だけでなくいま世界の様々な地域で自然生態系とヒトの居住環境が重なることから生じる軋轢が深刻な災害となって人間の暮らしを脅かしている。震災から4年後、被災地の一つ宮城県仙台市で国連防災世界会議が開催されたことにより、東日本大震災から得た教訓を地球規模のフレームで共有し、災害に強い環境づくりに活かしていく試みが世界各地ではじまった。その一つが環太平洋大学協会の11大学が参加する世界的なプラットフォームArcDR3による、災害に強い建築・都市デザインの共同プロジェクトである。ArcDR3の2年にわたる活動成果を開示する本展では、気候変動が引き起こす高潮や森林火災などの災害に対応する都市生成の新しい概念「リジェネラティブ・アーバニズム」を提起するとともに、その革新的な都市デザインの数々が紹介される。

11の大学による架空の都市の物語

リジェネラティブ・アーバニズム展では世界各地でおこなった都市と災害に関するリサーチを基に、ArcDR3に参加する11の大学が提案する様々な都市デザインを組み合わせ、7つの架空の都市を創造した。これら「災害から生まれる都市」の物語は、ArcDR3が提起するリジェネラティブ・アーバニズムのパラダイムである。水成、群島、時制、火成、共生、遊牧、対話の7都市は、ArcDR3による世界規模の共同研究が環太平洋地域の未来にちりばめたリジェネラティブ・アーバニズムのモザイクであり、自然が引き起こす災害の脅威に防衛的なシナリオで抵抗するのではなく、生態学や社会倫理学の側面から共生する新たな都市デザインのあり方を示している。

7つの井戸が映し出す都市の未来

展示室に配置した井戸のなかには沿岸部の低地、乾燥した砂漠、強風が吹く森林地帯など、それぞれ異なる気候や地理的条件下に置かれた架空の都市群に、様々な災害のシナリオが投影されている。このシナリオは世界各地で猛威を振るう山火事や高潮による被害の実態と相関関係にある。7つの井戸群はそうした恐るべき災害に柔軟に対応し、厳しい自然環境に適応した都市の諸相を物語ることでリジェネラティブ・アーバニズムの実践方法を伝えていく都市デザインの体験装置となっている。災害から生まれた7つの都市を旅するように巡りながら、様々な言葉やイメージを組み合わせ、「強靭で、バランスよく、協調的で、リスクに備え、知的で快適な都市生活を保証する」未来の都市像を思い描くきっかけとなることが期待されている。

リジェネラティブ・アーバニズム宣言

リジェネラティブ・アーバニズムは気候変動に伴い急増する災害の脅威によって生み出された都市デザインの新しいパラダイムであり、このパラダイムは現状維持や現状復帰を基本とした従来の防御的な災害対策ではなく、回復力(レジリエンス)をテーマとする都市開発の新たなアプローチを求めている。自然との軋轢が引き起こす災害のリスクを受け入れ、安全に対処する柔軟な構造を構築するだけでなく、さらに重要なこととして日常においてもより多様で豊かな環境形成につながる革新的な防災システムがソフトとハードの両面において必要とかんがえている。リジェネラティブ・アーバニズムは適応性、柔軟性、突然変異、共生の思想をその手法と技術に組み込むことで、より公正で強固で調和のとれた市民社会の実現を目指す、緩和的で先見的な都市のデザイン戦略となる。

シンポジウムについて

ArcDR3 Initiativeに参加する11大学から代表する建築家や研究者、そして防災・レジリエンスの専門家を招き、国際シンポジウム第4回ArcDR3フォーラム「NEW VISIONS FOR REGENERATIVE URBANISM」を2022年4月9日(土)9:00〜12:30(英語のみ)、10:00〜12:30(日本語・英語同時通訳)にオンラインで開催される。予定調和性をもったコンセンサスではなく、活発で創造的な議論を促進する独自のノウハウを構築した「SMALL TABLE / BIG TABLE」のパラレルな議論形式で、災害に強靭で自然と共生する新たな都市デザインについてのディスカッションを行う。

リジェネラティブ・アーバニズム展—災害から生まれる都市の物語開催概要

開催期間2022年4月9日(土)から4月24日(日)まで
開催時間12:00 〜 19:00
入場料無料
会場日本橋室町三井タワー「室町三井ホール&カンファレンス」 COREDO室町テラス3階