日本初「酪農IT」教育に特化したユニークな専門学校
「やわらかな建築」をテーマに掲げる設計事務所アトリエMEMEが、北海道標津郡中標津町に日本初の「酪農IT」教育に特化した岩谷学園ひがし北海道IT専門学校を完成した。同校は2024年4月に開校する。同校を設計するにあたり、アトリエMEMEでは授業だけでなく放課後のグループワークや実習で学生が長時間学校に滞在することに着目。家のように心やすらぐ場所でもあってほしいと考え、「居場所としての校舎」のあり方を追求した。
設計の特徴
教室を「家」と見立て敷地に沿って少しずつずらしながら連結。それらをヒューマンスケールの開口で接続することで棟家間に程よい距離感を生み、学生の居場所を自然と生み出した。
エントランスから進んでいくと開口をまたぐたびに多様な活動に出会い、街路や散策路を歩いているときのような期待感を感じられる。コンセプトである「建物があつまり、ひとがあつまる学校」を体現した校舎に仕上がった。
住宅街の中にある同校は、家がつらなったような立ち姿、フェンスなども一切ないランドスケープにより町の風景とも調和。事業主と行政の協力により実習棟は町のイベントスペースとしても活用され、学生だけではなく町の人たちも自然と集まる学校となる。
同校の設立の背景として、北海道標津郡中標津町は日本有数の酪農地域であること、酪農業には近年、乳牛の健康管理、歩行誘導等さまざまな場面でIT/ICTが導入され始めているがこれらに精通する人材育成が必要とされる状況があった。日本初の「酪農×IT」専門学校が地元行政や有志の支援のもと構想されていた。
設計事務所アトリエMEME
建築家八木敦之により八木敦之建築設計事務所設立後、2017年アトリエMEMEへ組織変更。「やわらかな建築」をテーマに掲げ、現代社会における建築の在り方を探求している。近年は教育施設に特に注力し大学や専門学校、ミャンマーの職業訓練学校などの計画を手掛けている。