指輪作り

建築に限らず、指輪のお仕事をさせていただくことが少なくない。建築ではないが、建築とよく似ていて勉強になることが多い。似ている業種だからこそ応用が効くものや建築に逆応用が効くものが存在する。これがなかなか可能性を秘めているものがあって面白い。

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ステージ01 脳内から視覚へ

指輪作りはプロセスが建築と同じよう進み、同じように生まれた時の感動がある。頭の中にあるイメージから始まり、それを見える形にする。はたまた具体的なイメージがあれば、それらをもとに組み立てていく。手書きのものからいくつかのものに拡散していき、それを具体的にしていく。具体的にしていけばいくほど、何かしらの問題に直面し、直面する都度優先順位をつけ再度組み立てていく。手描きのものが落ち着いてくれば、それをパソコン上でモデリングしていき具体的な数値を入れていく。建築でいう図面、パース、動画などがこのステージで強さを発揮する。これと同時並行に進むのが指のサイズを割り出す流れである。

サイズ01 国

この業界はサイズが国によって表記が違う。日本だと数字。イギリスだと英頭文字。アメリカだとXX。建築でもメートル法、インチ、寸、畳といろんな単位があるように、それはこの業界でも同じである。だが、驚くことにこのサイズが国で変わるというレイヤーに加え、まだまだあるのである。

サイズ02 ブランド

ブランドによってサイズが違うことがある。ドコドコのでは10号だったが、ドコソコでは11号だった。とサイズが変わるのである。たまにではなく頻繁にこれは起こり得る。

サイズ03 肉体の変化

肉体的な変化によるレイヤーもある。体重の増減による変化、季節による変化、女性の周期的なもの、妊娠時などこのレイヤー内でも多く同時に存在する。建築で言うなら地震や風による揺れといった具合だろうか。

これら多くのレイヤーがある中、ピッタリ合うことが求められるのが必須であり、結婚式当日での緊迫感は何年経ってもなかなかのものである。

攻略

これら多くの誤差があるものを最小限に抑えるには見積もり

モデリングさえできてしまえば、このステージで見積もりは細かい所まで算出することができ、デジタルの強みである。何度も同じ流れを踏めば、予測できる金額が存在し、それらを時間と共に計算していく。またこの業界の面白さは、グラムを単位に計算していることが多い。これらを踏まえ、変数であるものは以下に示す。

変数01 金属

金、銀、プラチナを多く扱う。その中でもホワイトゴールド、ローズゴールド、純度、18金などなどと、それぞれの好みに対応していく。同じように見えるが全く違う単価のものもあれば、30年前は安かったが、今は手が届かない金額になっているもの、国によって相場が全く違うものも、もちろんある。これらは為替のように毎日変動しそれをもとに計算していく。

変数02 ダイヤ

これも金属同様、毎日単価が変わる。またダイヤには以下の項目で価値が変わる。

サイズ

単位はカラット [ct]と表記する。

もちろん大きさと金額が比例する。世界最大のダイヤとされているのがロンドンのタワーブリッジにあるxxctのものである。りんごぐらいのサイズでありクラクラするほどの輝きである。

透明度であり、黄ばみがあれば金額は下がっていく。

クラリティー

ダイヤは石であるため傷がある天然のものは少なくない。

丸いものが多いが、楕円、四角、ハートといろんな形がある。また、一般的によくみるダイヤモンドカットというのは、光の角度を計算した結果、最も輝きを放つカタチとされている。その中でも、世代や国、ブランドによって少しずつ違いがあり、この業界の奥深さがここに潜んでいる。

証明書

どこのダイヤでありどこが削ったものかというものである。これらがないものは基本的には信用できないとされる。

GIA: イギリス、アメリカ

変数03 為替

私が行なっている全ての指輪はロンドンでの制作であり、ロンドン外からの依頼が多い中、為替の変動は必須である。

ステージ02 視覚から身体へ

建築では、紙やスチレンボードで模型を作り、少しずつスケールを上げていくのが自然な流れである。実際の建物を施工する前に、現場や倉庫で実際の素材とスケールでモックアップを作ることも少なくない。建築ではなるべく構造的に難しい箇所、収まりの箇所をここで回避する。私がこのステージでテストプリントというものを必ず挟んでいる。パソコンでモデリングしたものを出力する作業である。このステージでの面白さは、データは距離に捉われないということ、指輪は建築に比べ圧倒的に小さいという2点である。この2点を踏まえると、テストプリントはどこででも出力することができる。つまり、クライアント様の近くに3Dプリンターさえあれば、そこで出力し、そこから郵送という流れになる。東京でのクライアント様であれば、都内で出力するという流れであり、郵送距離が1日以内であるため、ロンドンからの出力に比べ1週間ほどの短縮になる。

このテストプリントはアクリル樹脂であり、下記3点の確認を重要視している。

2-1 サイズの確認

上記で述べたように

2-2 デザインの確認

2-3 職人との確認 


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